寒天テリーヌを楽しもう〜寒天の基本性質をおさえれば失敗なし!

鮭缶の寒天テリーヌ

今年はコロナで忘年会やクリスマスパーティーでの外食の機会も少ないかと思います。

せめて家の食卓で、ちょっとパーティー気分を味わいたいところ。

食卓を華やかに飾るのに便利なのが寒天で作るテリーヌ。
基本を覚えるといくらでも応用できるようになります。

寒天テリーヌについてご紹介しつつ、寒天の性質、作るときに覚えておけばいいというポイントについて書きます。
これがわかっていると、溶け残ってしまった、固まらない!などの失敗をすることなく、応用自在に作れるようになりますよ!

ほぼ同じ内容の音声配信はこちらでお聴きいただけます。

目次
1 寒天調理で知っておくべき基本
①原材料
②煮溶かす温度
③固まる温度
④固まる濃度
⑤相性の悪い食材
2 寒天テリーヌの基本


1 寒天調理で知っておくべき基本



①原材料

寒天の原材料はテングサ、あるいはテングサとオゴノリ。海藻です。
ベジタリアン、ヴィーガンでも食べることができます。

糸寒天は、伝統的に作られてきたものはテングサ100%、生産地は岐阜(天日干し)。

ただし、近年は、サラダ用、スープ用として工場で作られるものも増えています。
原料はテングサやオゴノリだけではなく、同じ紅藻類の他の海藻が使われていることもあります。

棒寒天は85%程度がテングサ、残りがオゴノリ、生産地は長野県茅野市周辺(天日干し)

粉寒天の多くはほぼ全て輸入のオゴノリ100%(工場生産)
です。

かつて寒天はテングサで作られていましたが、テングサに比べて粘りや弾力が強いオゴノリが今では多く使われています。
オゴノリは、世界各地で採れ、世界の海藻の生産量のうち、こんぶ、のり、わかめに次いで第4位。

本来、オゴノリはテングサと違って煮溶かして冷やしても自然に固まることはないのですが、水酸化ナトリウムを加えることで、酸性を中和するアルカリ処理法が日本で開発されたことで、使うことができるようになったと言います。
(「かんてんレシピクラブ」 女子栄養大学出版会 参照)


②煮溶かす温度
寒天は、85〜93度と融点が高いので、きちんと加熱しないと溶けきらずに残ってしまいます。

テングサを材料にしたものは一般に融点が高く、オゴノリを使用したものは低めなので、比較的溶けやすいです。

棒寒天は沸騰してから必ず5分はかき混ぜながら加熱するようにと、長野県寒天水産加工業協同組合の女性組合員の方々に教わりました。見た目は透明になっても溶け残っていることがあるので注意、とのことでした。


③固まる温度
寒天が固まる温度は、38~40度。
通常の室温で十分固まります。
また、再度溶かすには70度程度が必要なので、室温に置いても溶ける心配はありません。
これは、室温で溶けてしまうゼラチンとの大きな違いの一つです。


④固まる濃度

液体量に対して0.3~1.5%で固まります。
多ければ硬めに、少なければ緩めに出来上がります。


⑤相性の悪い食材
寒天は酸によって分解されやすく、酸がある状態で高温が続くと凝固力が低くなります。

寒天パパのHPによれば、「pH3以下で高い温度を保つと著しいゼリー強度の低下を招く」とのこと。
例えば酸が強いレモンや柑橘系、梅などの果汁は、50度程度まで温度を落としてから加えることで、この問題は回避できます。

角(棒)・糸寒天は煮溶かすときに、液に砂糖が入っていると溶け残りが出てしまいます

まず砂糖を入れていない液に溶かしてから、後で砂糖を加えるようにすれば問題ありません。
粉寒天は、家庭で使いやすいように、砂糖を入れて加熱しても固まるように作られているので、最初から砂糖を入れても問題ありません。


2 寒天テリーヌを楽しもう!


さて、そんなことを踏まえれば、寒天でテリーヌづくりも楽しめるはず。

私は、テングサを使っていることと、スーパーなどでも手に入りやすいことから、棒寒天を愛用しています。
棒寒天は、水に20分以上(一晩くらいつけておいても可)浸けてから、しっかり水気を絞って使います。

これを1本(9~10g程度)につき、600mlの水分と合わせて加熱します。
上に書いたように十分に煮溶かしてください。

水ではなく、昆布水や鶏ガラスープなどを使うと、より風味が良くなります。
ジュース類でもいいですよ〜。
またカレーやシチューなどが残った時に、戻した寒天をそのまま入れて溶かし固めれば、カレー寒天、シチュー寒天ができてしまいます。

鮭缶の中身をミキサーなどでピュレ状にしたものを加えて固めると

鮭缶の寒天テリーヌ

鯖の燻製とマッシュポテトを固めたものがこちら。
鯖の燻製とマッシュポテトの寒天テリーヌ

ポテトサラダを固めたこともあります。秋田では割とポピュラーな使い方らしいです。
ツルンとした食感で、ポテサラとはまた違った楽しさがあります。

ポテサラ寒天

エビと秘伝豆を固めたものはこちら。
エビと秘伝豆のテリーヌ

などなど、ご自身で工夫してみてくださいね。

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寒天でテリーヌ作り、ぜひ、工夫を楽しんで食卓を華やかに変えてみてくださいね。

 

 

 

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ABOUTこの記事をかいた人

サステナブル料理研究家/一般社団法人DRYandPEACE代表理事
東大法学部卒。外資系金融機関等を経て、娘の重度のアトピーをきっかけに食の世界に。

食には未来を変える力があるという信念のもと、今のライフスタイルにあった乾物や米粉の活用法を中心にレシピを開発している。
料理教室の開催、企業向けメニュー開発、研修など多数。

料理を自由に発想でき、毎日の料理が楽しくなる独自の「ピボットメソッド」を考案。個人やメニュー開発が必要な方向けのトレーニングも行っている。

著書14冊。メディア出演多数。

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