「備蓄に乾物?戻すから向かないんじゃないですか?」
3年前、防災の専門家の大学教授にそう言われたことがあります。
でも、その後、防災士さんたちから「乾物に注目が集まっているんです!」と言っていただけるようになり、農水省が2020年3月に出した「災害時に備えた食品ストックガイド」では、乾物メニューを紹介させていただくことになりました。
以下を読んでいただけたら、「確かに向くかも」と思っていただけるんじゃないか、と思います。
目次
切干し大根7つのレシピ、無料プレゼント中!
サステナブル料理研究家、一般社団法人DRYandPEACE代表理事のサカイ優佳子です。
2011年からは特に、現代のライフスタイルに合わせた乾物の活用法の研究、発信に力を入れ、著書14冊(うち、乾物関連7冊)になりました。
- 食品ロス削減
- 省エネ
- もしもの時の備え
そして意外かもしれませんが、料理を時短にしてくれるのが乾物。
いいことだらけの乾物をふだんの食卓に取り入れる方法を、このブログでもいろいろお伝えしています。
乾物に関する役立つ情報満載の無料メルマガを書いています。
ぜひ、乾物仲間になってくださいね!
「乾物ってこんなに簡単!日々の料理を手軽に美味しく」
なぜ乾物?について、インタビューを受けました。
20分ほどの動画です。ご覧いただけたら嬉しいです。
Re・rise News
1 乾物を備蓄する7つのメリット
たまに誤解されることがあるのですが、乾物だけ備蓄していればいいと言いたい訳ではありません。
水や缶詰、レトルト、市販の非常食などに、乾物というチョイスを加えることで、いいことがたくさんあるのです。
乾物を備蓄する主なメリットを挙げてみますね。
- 種類が豊富
- 食物繊維が豊富
- 添加物がない
- お手頃値段
- 近所で買える
- 洗い物が少ない
- 生ゴミが出ない
では、簡単に説明していきます。
種類が豊富
ともすれば、配給される食材は炭水化物に偏りがちです。
乾物は、魚介、海藻、豆、野菜やキノコ、ドライフルーツやナッツ、穀物と、さまざまな種類があります。
つまりは、栄養にもそれだけバリエーションがあるわけです。
「野菜が欲しかった」という声はよく聞きますよね。
さらに進んで、自分で作る干し野菜まであれば、万全です。
食物繊維が豊富
乾物は、水分を減らすことによって常温で長期保存可能な食材なので、食物繊維が豊富です。
もしもの時は便秘になりがちいと言いますが、そんな時に重要な水溶性食物繊維を多く含むのが海藻類です。
特におすすめは、棒寒天やわかめ。
あとで活用レシピもご紹介します。
添加物がない
乾物は、水分を少なくすることで常温で長期保存が可能になっています。
基本、添加物はなくても大丈夫。
何から作られているかが一目瞭然なので、小さなお子さんがいて添加物を気にしている人や、アレルギーをもつ人にも使いやすい食材なのです。
お手頃値段
非常食は、昔に比べてずいぶんおいしくなってきたと言われます。
ある時ご紹介いただいた非常食は、おいしいと言えるものでしたが、なんと一食1200円!
1週間分は備蓄が必要と言われる中で、家族全員の分を揃えたら相当な出費です。
それに1,200円出すならもっと美味しいものはたくさんあると思うと、積極的に買う気にはなれませんでした。
アルファ化米も、一人分でそれなりのお値段。
乾物は、そもそもが日常食で、お値段も手ごろです。
近所で買える
ともすれば「非常食ってどこで売っているの?」ということにもなりかねませんが、乾物なら、近くのスーパーで手に入るので、日常の暮らしの中に組み込みやすいメリットがあります。
使ったら、使った分だけ補充するという「ローリングストック」(回転備蓄)を実現するためにも、近所で買えることは実は大きなメリットになります。
洗いものが少ない
乾物は、皮を剥いたり切ったりしてあるものがほとんどなので、包丁なしでの料理も可能です。
包丁やまな板を洗う必要がないのは、水が貴重になることも多い災害時にはありがたいことではないでしょうか。
また、包丁いらずで、基本混ぜるだけで完成、あるいは全て鍋に入れて加熱するだけといった料理も多く、普段料理をしない方やお子さんでも安心して料理できるメリットもあります。
生ごみが出ない
上にも書いたように、乾物は、皮を剥いたり切ったりしてあるものがほとんどなので、無駄な部分がなく、家庭で生ゴミが出ません。
ごみ収集が来ない可能性も考えると、実はこれ、かなり大きなメリットです。
会場を借りて料理教室を開くと、例えば卵の殻だけしか生ゴミがないのをみて、「本当に料理をしたんですか?」といぶかられることすらあるのです。
普段の料理作りでも、生ごみは少ない方がゴミ出しもラクですよね。
2 乾物を備蓄として機能させるための基礎知識
ただ、こうしたメリットのある乾物も、ある程度の知識と料理のバリエーションがないと役立てることができません。
先日、久しぶりにオンラインでの乾物防災食講座を開催したのですが、まずは
- どんな乾物が備蓄に向いているのか
- それぞれの乾物には、どんな栄養があるのか
- 加熱せずに食べられる乾物はどれか
- 加熱が必要な乾物はどれか
といった、備蓄に向けての乾物の使い方の基礎知識をワークをしながら確認していきました。
例えば、こんなことです。
備蓄に向く乾物、向かない乾物?
例えば、
戻すのに長い時間がかかり、長く加熱しなければいけない豆は、やはりもしもの時には使いにくいです。
でも、一方で、戻しがいらず、そのまま調理できるレンズ豆や打ち豆、すでに加熱されているのでそのまま食べることもできるし、調理にも活かせる「煎り大豆」のような豆もあります。
お麩の中でも、戻すのに時間がかかる車麩(新潟タイプ)は備蓄にはあまり向いているとはいえませんが、汁物に入れるだけで食べられる庄内麩(切ったものは切り麩という名前でも売られています)や小町麩(焼きふとも)、細工麩もあるし、パンのようにそのまま食べてもOKの油麩のようなものもあります。
備蓄に向いているかという視点を持っていることは大事と思います。
乾物の栄養について考える
それぞれの乾物にはどんな栄養があるのかを、まずは皆さんに考えていただき、答え合わせをしました。
もしもの時、当初はとにかくなんでも食べるものがあればいいという精神状態かもしれませんが、3日もすると日常に近い食事を求める気持ちが強くなるといいます。
栄養バランスも考えないと、便秘になったり、口内炎や皮膚のトラブルが出たり、イライラしたりといったことも考えられます。
栄養バランスを考えておくことで、備蓄は、より役立つものになるはずです。
加熱しないで食べられるもの、加熱が必要なもの
そんなご感想をよくいただきます。
例えば、切干し大根。
煮物というイメージがあるので、加熱不要と思っていない方も、意外に多いのです。
一方で、干し椎茸。
これは加熱しないで食べるのは、NGです。
しいたけ皮膚炎を発症する可能性があります。
ひどく痒いそうです。
今回ご参加の方からも、「しいたけ皮膚炎、知りませんでした」という声をいただきました。
もしもの時には病院にも行けない可能性が高いので、注意してくださいね。
3 いつもも もしもも 美味しい料理レシピ
さて、そんな乾物の基礎知識を確認した後は、料理のご紹介です。
今回ご紹介したのは、以下の5品です。
- オレンジジュースで戻した干し人参と寒天のサラダ
- 豆腐で戻したドライフルーツと青菜の白和え
- 切干し大根とツナ缶の梅風味あえ
- ポテトフレークで加熱不要の簡単ポテサラ
- 捨てる水無し、包丁いらず!トマトジュースで作るスピードパスタ
パスタ以外は、加熱不要の料理です。
包丁を使わずに作ることもできます。
ということは、洗い物も少ないのです。
オレンジジュースで戻した干し人参と寒天のサラダ
干した人参も、最近は市販品を見るようになりました。
自分で作るのも実は簡単なんですが。
棒寒天を煮溶かすのではなく、ちぎってオレンジジュースで戻すと、柑橘のようにも見えてきます。
大人にも子供にも人気の一品です。
もしもの時は、甘味、ビタミン、大事です。
そして、寒天は海藻から作られているので、水溶性食物繊維が豊富。
お腹の調子を整えてくれます。
棒寒天は、2年以上保存が可能です。
普段も、例えばお味噌汁に一口大ちぎって最後に入れるだけなんていう使い方もできます。
豆腐で戻したドライフルーツと青菜の白和え
この白和えは、ファンが多いです(レシピリンクは後半に貼っています)。
乾物が豆腐の水分を吸って戻るので、水切りが不要という楽さも魅力です。
ドライフルーツと乾燥ほうれん草が入り、ねりごまをベースに味をつけるので、栄養もたっぷり。
ねりごまは、できるだけ汚れ物を出さない観点から、チューブタイプをおすすめしています。
乾燥ほうれん草は加熱しアクも抜いてあるので、15〜20分ほど水戻しすれば食べることができます。
普段の料理作りでは、熱湯を注いで3分もすればお浸しに使えるのでとても便利です。
豆腐も、今は常温保存できるものが製品化され、私も常備しています。
切干し大根とツナ缶の梅風味あえ
乾物はたっぷりの水で戻すという先入観がある人も多いので、ツナ缶の缶汁で戻すというと驚かれます。
でも、そのくらいの水分でも戻るのです。
塩昆布や梅干し、ごまも加えて、混ぜて待つだけでご飯にあう料理の出来上がりです。
ツナ缶はノンオイル、無塩タイプをおすすめしています。
塩分のコントロールがしやすいこと、またオイルを使っていると乾物が戻るのに時間がよけいにかかることが理由です。
ポテトフレークで加熱不要の簡単ポテサラ
ポテトフレークをご存知ですか?
ジャガイモを加熱してフレーク状にした乾物です。
水を加えて混ぜるだけであっという間にマッシュポテト状態になるので、ポテサラ作りだけでなく、ビシソワーズやコロッケ、ニョッキなどジャガイモ料理が格段に簡単に時短になります。
このポテサラには鮭缶とわかめを使い、わさびがアクセント。
玉ねぎはスライスして加えていますが、もしもの時、包丁を使いたくなければ省略すればいいですよね。
以下のポテトフレークは、私が常備しているもの、原材料はジャガイモだけで、味もついていないし、添加物もありません。
捨てる水無し、包丁いらず!トマトジュースで作るスピードパスタ
もしもの時は、水を捨てることができない可能性もあります。
そうでな災害時に貴重な水を捨てるなんていうもったいないことは、できるだけしたくないですよね。
このパスタは、トマトジュースで作ります。
乾物あれこれとパスタを一緒に鍋に入れて煮るだけ。
加熱される間に乾物が戻り、でてきた旨みをパスタが吸いながら茹で上がっていきます。
仕上げは、常温保存可能なチーズとオレガノなどのハーブをふって。
そんなご感想もいただきました。
レシピリンク集
ニッポンドットコム「乾物を災害時の備蓄に加えよう : 包丁いらずで野菜たっぷり料理をプラス」
今回ご紹介した料理を含む3品のレシピを紹介しています。
東急百貨店Foodshowホームページ
クスクスは食べ慣れていない方もいらっしゃるかもしれませんが、加熱不要で食べることができる穀物なので、一度ぜひ試してみてください。このリゾット風、人気です。
水切り不要で簡単、大人気の白和えです。お豆腐も常温保存が売られるようになったので、もしもの時も作れます。
結論
乾物を備蓄に加えると、メリットがたくさんあります。
ただ、その備蓄を生かすためには、知識や料理のバリエーションを身につける必要があります。
乾物は煮物だけ、ではなく、和洋中、エスニックにも活かせる「食材」です。
嬉しいことに、今回の講座に参加してくださった方のほとんどが、「もっとしっかり学びいたい」と講師養成講座に進んでくれました。
乾物の使い方を身につけて、いつもも もしもも 美味しく栄養ある料理を作ることができる人、伝えてくれる人を増やしていきたいと思っています。
乾物防災食講座の今後の開催日程はこちらをご覧ください。
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