「寒天を作ってみたら、固まらない!」「何が悪いの?」そう思ったことはありませんか?
寒天を使う時の注意点を、理由とともにしっかりお伝えしますね。
理由がわかれば、もう失敗しなくて済みますよ!
目次
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1 寒天が固まらない理由
寒天がうまく固まらない場合、以下のような理由が考えられます。
- 寒天の分量が不足している
- 寒天が溶けきっていない
- フルーツなど酸味の多いものを加えた
- 液体を冷たいまま加えた
あ、フルーツを入れることができないというわけではないので、安心してくださいね。
では、順番に見ていきましょう。
①寒天の分量が不足している
寒天を作るときに、水分に対して寒天が少なすぎれば固まりません。
まずは、この分量程度の濃度になっているかをチェックしてみてくださいね。
固めにしたい | 軟らかめにしたい | |
粉寒天(4g) |
500mlの水分 |
600mlの水分 |
棒寒天(1本=8~10g) | ||
糸寒天(8g) |
②寒天がちゃんと溶けていない
寒天の分量が問題ないとしても、その寒天がきちんと溶けていないと、液中の凝固成分がその分少ないことになってやはり固まりません。
加熱が不十分なケース
寒天をちゃんと溶かすために、まずおさえておいていただきたいのは、「寒天の融点(ゆうてん)」です。
寒天は、85〜93度にならないと溶けないのです。
なので中途半端な加熱では、どうしても溶け残りが出てしまいます。
水以外のものが含まれているケース
また水以外のものが液体に含まれていると、その分溶けにくくなります。
例えば、砂糖。
粉寒天の場合は、砂糖を最初から加えても大丈夫なように作られている製品が多いのですが、棒寒天、糸寒天の場合は、寒天がしっかり溶けてから加えるようにしてください。
他にも、きちんと溶かすためには、いくつかのポイントがあります。
粉寒天、棒寒天、糸寒天に分けてお伝えしますね。
粉寒天の溶かし方
- 事前に戻す必要はない。
- 水とともに鍋に入れてから加熱する。
- 鍋底に沈みやすいので、かき混ぜながら煮る。
- 煮たったら、静かに煮立つ程度に火を弱め、2分ほど加熱を続ける。
参照 :寒天本舗 「基本のレシピ」
棒寒天の溶かし方
- 水に浸けて、20分以上戻す(冷蔵庫に入れておけば、翌日に使っても問題ない)。
- 水気を絞ってから、小さくちぎる(もちろん、ちぎってから戻しても良い)。
- 水と一緒に鍋に入れて火にかけ、沸騰するまでは触らない。
- 沸騰したら静かに煮立つ程度に火を弱め、ここで初めてかき混ぜながら5分ほど煮る。
(長野県寒天水産加工業協同組合の組合員の方々に、直接ご伝授いただきました)
糸寒天の溶かし方
- 3〜4cmにハサミで切る。
- 水に浸けて戻す(10~20分、1時間以上、2時間以上などメーカーによって意見が異なっています)。
- 水気を切る。
- 水と一緒に鍋に入れて火にかけ、中火で混ぜながら煮溶かす。
(参照 : 小笠原商店HP 「糸寒天の使い方」、水野寒天HP 「通の食べ方」、松木寒天「寒天の基本の扱い方」他)
*煮溶かす時間については、やはり棒寒天と同様、5分ほどとることをお勧めします。
電子レンジで作る場合の注意点
電子レンジで作りたいという方もいらっしゃると思います。
電子レンジで作る際も、沸騰してから15秒程度は加熱し続けてしっかり寒天を溶かしましょう。
いつ沸騰するかわからないので、見ていなければならないのはちょっと面倒ではあります。
吹きこぼれないように大きめの容器を使うのがポイントです。
③フルーツなど、酸味の多いものを加えた
果物やジュースなど酸味のあるものを加える場合は、寒天液のあら熱が取れてから加えましょう。
寒天の主成分であり、液体を固める力を持つのは、アガロースです。
アガロースは強い酸にあうと、分解されてアガロオリゴ糖になってしまいます。
寒天パパのHPによれば、寒天は「pH3以下で高い温度を保つと著しいゼリー強度の低下を招く」のだそうです。
参照 :寒天パパ 「寒天の科学」
寒天液を火にかけたまま酸味のある果物やジュースを加えると、この条件にピッタリハマってしまいます。
寒天パパのホームページに、以下のような記述がありました。
なぜ、酸性のものを、粗熱を取ってから加えなければいけないのかが分かります。
寒天を水に入れ、火にかけて十分に煮溶かすと、からまった寒天の分子がほぐれます。
寒天の長い分子が、1本の糸のようになって水の中に存在しています。この状態が寒天が溶けた状態です。温度が50~40℃くらいまで下がると、ほぐれた寒天の分子が再び寄り集まり、
寒天の分子の糸2本がからみ合って、糸を寄り合わせたような二重螺旋構造になります。さらに温度が下がってくると、寄り合わさった寒天の分子同士もからみ合って、網目状の立体的な構造を作ります。
この網目状の分子の中に水を閉じ込めた状態が、ゼリーが固まった状態なのです。引用 :寒天パパHP 「寒天について」
粗熱がとれてから加える
果物やジュースは、火を止めてから加えてください。
例えば酸が強いレモンや柑橘系、梅などの果汁などは特に、粗熱が取れてから(50度程度まで温度を落としてから)加えることをお勧めします。
<おまけ情報> ためしてガッテンの「くずレモン寒」のレシピ
NHKの「ためしてガッテン」で、最初からレモンを一緒に入れて作る「くずレモン寒」という料理が紹介されたとのことですが、一見固まって見えるのに、スプーンを入れるとクシャクシャした感じの柔らかさになるのは、これを逆手にとったレシピと言えます。
すでに番組ホームページは閉鎖されているので、いろいろな方がブログなどで紹介しているレシピを見ると、以下のような紹介がされたようです。
材料
- 水 400ml
- 粉末寒天 4グラム(あるいは棒寒天8g=1本)
- レモン汁 大さじ2
- 砂糖 大さじ2
作り方
- 上記材料を全て一緒に鍋に入れ、かき混ぜながら沸騰させる。
- 沸騰してから3分さらにかき混ぜたら、容器に入れる。
上にも書きましたが、通常固めの寒天に仕上げたい場合、この寒天量だと500mlの水を加えます。
でも、レモンが入ることで固まりにくくなるので400mlまで減らしているんですね。
粉寒天の場合はこの作り方のままでいいと思いますが、棒寒天の場合は、やはり20分以上水に浸けてから鍋に入れて一緒に加熱するのがよいと思います。
個人的には、もう少しレモンの酸味が効いて糖分も多い方がスイーツとしては美味しく食べられるように思いました。
番組では、他の料理にも展開していたようなので、そのためにこの分量なのかもしれませんね。
④液体を冷たいまま加えた
せっかく寒天がしっかり溶けても、そこに冷たい液体を加えるのはNGです。
寒天は、38〜40度で固まります。
寒天液に冷たい液体を加えると、その液体に接した部分だけが急激に冷えて、一部だけがまず固まってしまい、他の部分はその分固まらずにムラができてしまったり、分離してしまったりします。
40度に温めて加える
液体を加えるときは、40度程度に温めて加えるのがおすすめです。
少なくとも常温に戻しておきましょう。
冷蔵庫から出したての牛乳、豆乳、ジュースなどを一気に加えるのは、やめてくださいね。
寒天が固まらなかった時の対処法
すべてを守っていれば、寒天は無事固まるはずなのですが、もしも寒天が固まらなかったときにはどうしたら良いでしょうか?
あんみつなど寒天液のみの場合〜温め直す
砂糖などを入れていない、例えばあんみつなどを作るために寒天を作っていた場合なら、もう一度加熱して十分に煮溶かしてやり直したら固まります。
寒天液に他のものが加わっている場合
ただ、他のものも入れてしまっている場合は、加熱しなおしても他の条件が変わらないのでうまく固まらない可能性が高いです。
固まらなかった寒天のアレンジ例
冷凍してシャーベットとして食べるなら、固まらなかったことは分かりません。
寒天のつるんとした食感とは違いますが、これはこれで美味しく食べられるはずです。
ただし、食べる前に冷凍庫から出して長くおいておくと、分離して見た目も食感もひどいことになるので、出したらすぐ食べてくださいね(笑)。
NHKの「ためしてガッテン」の固めないレモン寒天のように、あえて固めなかったということで強行するのはいかがでしょうか?
例えば牛乳寒天が固まらなければ、それを素材に何かを足してあたかもそれを狙って作ったかのようなアレンジをしてしまいましょう。
まとめ
寒天が固まらない!を避けるためには、
- 十分な寒天の量
- しっかり溶かす
- 果物やジュースなど酸が強いものを入れるときは、50度程度まで冷ましてから
- 寒天を溶かした液に液体を加える時は、人肌程度に温めてから。
そして、もしうっかり「固まらない」事態になったら、冷凍する、知らないフリでアレンジするなどで乗り切りましょう!
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