干し芋、作ったことありますか?
干し芋の美味しい作り方のポイントをご紹介しますね。
8/30/2024追記
目次
干し芋にはどんな芋を選べばいいのか?
大きさ、太さは?
上の写真は、近くのスーパーで鳴門金時と、ただ「さつまいも」とだけ書いてある芋とを買ってきて1時間蒸してみたもの。
周りが黄色くなっているけれど、中心部分はまだ白っぽいですよね。
理想を言えば、全体が黄色っぽくなるまで蒸す方がいいのです。
となるとあと30分くらい蒸すべきだったでしょうか。
竹串はスッと通るのですが。
こうしたことを考えると、太いさつま芋を使うと加熱時間がかなりかかることになります。
細めのさつまいもを選ぶ、何本か作るのであれば、太さが同じくらいのものを選ぶのが良いでしょう。
干し芋に向いている品種は?
左側、白いバットに入っているのが鳴門金時、ホクホク系。
品種不明の「さつまいも」の方がずっとしっとりして甘味も強かったです。
さつま芋は、ホクホク系とネットリ系に別れます。
干し芋にする際も、ネットリ系の方が柔らかく、ホクホク系は硬めな仕上がりになります。
具体的には、シルクスイート、紅はるか、安納芋などのネットリ系の方を、好む人が多いのではないかと思います。
下のチャートはweather newsさんのHPからお借りしています。
焼き芋用のチャートですが、どの品種がどんな特徴を持っているのかが一目瞭然ですね。
下の写真は紅はるか。
1時間半ほど蒸したものです。
ネットリしている感じがわかると思います。
さつま芋は少し寝かせた方が美味しい
掘り立てのさつまいもは、土がついたまま追熟させることで甘みが増すと言われています。
農家さんによれば、洗ってしまうと皮が傷つき、そこから腐りやすくなるとのこと、洗っちゃダメなんです。
農業・食品産業技術総合研究機構の片山健二さんによれば、さつまいもは、収穫後、次第にデンプンが糖化するのだそうです。
さらにはこんなアドバイスも!
どの品種も、1か月以上おくのがおいしく食べる目安。ホクホク系は4~5か月たつと、より甘くなりますが、ねっとり系は3か月以内に食べましょう。(中略)
サツマイモは10℃以下だと低温障害で腐り始めるので、冷蔵庫保存はNG。
長く保存しようと冷蔵庫に入れては、むしろよくないのは覚えておきたいポイントです。
農水省のHPによれば、原産地は、メキシコを中心とする熱帯アメリカというので、寒さに弱いのですね。
買ってきたさつまいもも、もちろん常温で保存してくださいね。
新聞紙などに包んで、陽の当たらない涼しいところで(でも10度以下にはならないように)保存します。
さつまいもの甘みを引き出す加熱方法
- 茹でるよりは蒸す(電子レンジはNG)
- 70度台の温度帯が長く続くのが大事
細かく見ていきますね。
さつまいもは、皮付きのまま蒸します。
蒸し料理は、茹でるより栄養損失が少ないのです。
蒸し器がなくても、上の写真のように鍋の下に皿でもざるでも置いてあげ底をして蒸せばOKです。
さつまいもを加熱すると、β-アミラーゼという酵素が働いて、加熱されて糊化したデンプンを麦芽糖に変えます。
このことで、さつまいもの甘みが増すと言われます。
なので、β-アミラーゼが働きやすいような状態で加熱することが大事なんですね!
では、それはどんな状態なのかというと、、、。
日本いも類研究会のHPによれば、
*日本いも類研究会 「焼きいもが甘いのはなぜですか?」
また、こんな論文も見つけました。
β-アミラーゼは 80℃を 超えると活性が大きく低下する.それ故,サツマイモの加熱調理においては,70∼80℃の温度域にできるだけ長時間曝すことが甘みを増すために有効とされている.
*独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 作物研究所
ということなので、80度を超えず、70度台の温度帯が長く続く調理が大事ということですね。
というわけで、弱火でじっくり長く蒸します。
1時間、できれば1時間半くらいじっくり蒸しましょう。
電子レンジでの短時間加熱では、だから、さつまいもの甘みを引き出すことができません。
楊枝や竹串をさしてすっと通るのが最低限、さらに少し長めにしっかり蒸すと、甘くなっているはず。
<参考までに>
群馬県のホームページによれば、茨城では皮付きのまま蒸し、群馬では皮を剥いてから水に浸した後に蒸すことが多いようです。
水に浸すのは、酸化による変色を防ぐため。
また蒸す時間が長いほど、黄色が低くなる傾向があり、これは加熱によりカロテノイドが減少したためと考えられるそうです。
参考 :群馬県ホームページ 「蒸切干(干しいも)における加工条件が品質に及ぼす影響 」(群馬県農業技術センター研究報告 第 20 号(2023):7~11
干し芋づくり 失敗しない干し方
さて、蒸しあがったさつまいもは、皮を剥きます。
熱いうちの方がす〜っと剥けるので、軍手を用意して冷え切らないうちに剥きましょう。
切るのは冷めてからがおすすめ。切り口がキレイに切りやすくなります。
自宅で作る干し芋なので、形をどうするかは自由です。
体積あたりの表面積が大きい方が、空気に触れる部分が多いのではやく乾きます。
縦方向に長く、7〜8mm厚さに切って干すと良いでしょう。
ざる、網などに重ならないように並べて干します。
外で干す場合は、夜は家の中に入れてください。
幹線道路沿いに住んでいる方、花粉の時期、にわか雨が心配な時などあると思います。
家の中でも、ひどく湿気が多いところでなければ、干すことができます。
1日に一度は、裏返してください。
概ね2〜3日で出来上がりますが、天候によっても違うので、食べてみて好みのところで干すのをやめましょう。
薄く切れてしまった端っこは、あっという間に硬くなりますので、早めに食べてしまいましょう。
完全に硬くなるまで干すのではなく、柔らかい半干しで食べるのがオススメです。
干し芋の保存方法
干し芋好きなら、干している間にもつまみ食いをしてしまいますので、あまり問題にはならないかもしれませんが、半干し状態の干し芋は、残念ながら長くは保存できないので注意してください。
食べ切れない分は、ビニール袋やタッパーなどの容器に入れて冷蔵庫で保存しましょう。
ただ、冷蔵庫にしばらく入れておくと少し硬くなるので、食べる時にはそのままではなく炙る(あぶる)といいでしょう。
保存できるほどに硬くなるまで干すと、水分で戻さないと歯が立たないほどガリガリになります。
そうなってしまったら、食べやすい大きさに切って、プレーンヨーグルトとよく混ぜて7〜8時間冷蔵庫におくと、柔らかく戻って美味しく食べることができます。
お試しください。
まとめ
干し芋を作るときは、こんなポイントに注意すると、最高に美味しくできるはず!
掘り立てのさつまいもは追熟してから使う
ネットリ系のさつまいもがおすすめ
さつまいもを保存するときは、常温で
さつまいもを加熱するときは、弱火でじっくり時間をかけて
干すときは、表面積を大きくして失敗知らず
硬くなる前に食べましょう
硬くなってしまったらヨーグルトで戻してみて
市販でも入手しやすいとはいえ、自家製は経済的だし、作ること自体が楽しいし、美味しいです。
ポイントを抑えて、ぜひトライしてみてくださいね!
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