NHK「ガッテン」で2021年9月22日に放送された「開け!スリムへの道 新感覚☆食べ過ぎ防止術」によると、
昆布やかつお節から取った“だし”に多く含まれる「うま味(み)」に、肥満を防ぐカギが眠っている
のだそうです。
どういうことなのか、また乾物料理を研究するものとして考えたことを書いてみます。
目次
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サステナブル料理研究家、一般社団法人DRYandPEACE代表理事のサカイ優佳子です。
2011年からは特に、現代のライフスタイルに合わせた乾物の活用法の研究、発信に力を入れ、著書14冊(うち、乾物関連7冊)になりました。
- 食品ロス削減
- 省エネ
- もしもの時の備え
そして意外かもしれませんが、料理を時短にしてくれるのが乾物。
いいことだらけの乾物をふだんの食卓に取り入れる方法を、このブログでもいろいろお伝えしています。
乾物に関する役立つ情報満載の無料メルマガを書いています。
ぜひ、乾物仲間になってくださいね!
「乾物ってこんなに簡単!日々の料理を手軽に美味しく」
なぜ乾物?について、インタビューを受けました。
20分ほどの動画です。ご覧いただけたら嬉しいです。
Re・rise News

1 旨味を感じにくい人は太りやすい?

旨味感度が低いと肥満傾向に?
旨味感度が低い人の特徴
番組では、2020年に発表された論文”Umami taste disorder is a novel predictor of obesity“を紹介していました。
これによれば、旨味に対する味覚感度が低い人には、以下の特徴があるというのです。
- 肥満状態の人が多い
- 摂取エネルギー量が増えやすい
- 甘いものが好きだと答える人が多い
ちなみに、論文にあたってみると、この研究が対象とした人は以下のようなグループでした。
- 日本人
- 女性 33人 男性14人
- 糖尿病患者で、高血圧の薬を飲んでいる人
- 平均年齢 37.4歳
0.03%の「味の素」溶液1mlを舌に落とし、味を感じるかどうかで測定しています。
参考 ”Umami taste disorder is a novel predictor of obesity” Hypertension Research(2021)
(全文を読もうと購入しようとしたのですが、なぜか購入できず、、)
旨味がわからない人は意外に多い?

ワークショップで、ダシの正体を当ててもらうクイズをすると、、、
一方、番組で行った実験では、103人中26人の「うま味感度」が低下していることがわかりました。
約4人に一人というのは、かなりの高率ですよね。
実は、ワークショップでダシあてクイズをやってみると、昆布水を水と答える人が少なくないのです。
「これは水ではなくて昆布水ですよ」と言ってから味わってもらっても、「昆布の味も香りもしない」という人もいます。
濃い味に慣れてしまったからなのでしょうか。
2 グルタミン酸を多くとるほど、旨味を感じるようになる!?
番組では、その26人のうちの8人の協力を得て、1日小さじ1杯の旨み成分を2週間摂取してもらったところ、以下のような結果になったそうです。
- 8人中6人のうま味感度がアップ
- 実験2週間前と比較して8人中5人の方で1日の摂取カロリーの平均値が減少
私たちの舌には「旨味受容体」があり、これが旨味感度を左右するとされます。
この旨味受容体の数を増やすことができると科学的に証明されているのが、グルタミン酸です。
そして、グルタミン酸を多く含む食品の代表は、昆布。
この実験では、料理に昆布茶を振りかけている人、旨味調味料を入れている人が紹介されていました。
小さじ1杯というのが、旨味濃度的にそれぞれで変わるのかは、番組では明らかにされていませんでした。
この「1日小さじ1杯の旨み成分」に、他にどんなバリエーションがあったのかも不明です。
例えば、鰹節や干し椎茸の粉末とか、液体ダシとかもありだったのでしょうか?
3 ダシの旨味は油を超える?

出汁の旨味は、油への「やみつき」を抑える?
「うま味を継続的にとることで肥満が改善されるかどうかは、これから研究が進むことが期待される」ということですが、積極的に旨みをとることは悪いことではなさそうです。
伏木亨著「コクと旨味の秘密」(新潮選書 2005)によれば、鰹(カツオ)ダシの旨味を離乳期に刷り込まれたラットは、油よりもむしろ鰹ダシを好むようになる実験について紹介されています(183~184ページ)。
油よりもダシの旨味を好むようになれば、その分摂取カロリーが抑えられる可能性は高まります。
「離乳期」とあるので、時すでに遅しと思う方もいるかもしれませんが、「円熟」もしていくそうなので、今からでも遅くはないはずです。
また、味だけでなく香りによって刷り込まれることが多いというので、香りも意識していきたいですね。
さらに付け加えると、「人工的なうま味液に対してマウスはやみつきになりませんでした。天然の風味が重要」(同133ページ)とのことです。
4 グルタミン酸が多い食品は?
天然の風味が重要とのことなので、グルタミン酸がどんな食材に含まれているかをみておきましょう。
特に多い食品にには、以下のようなものがあります。
昆布、海苔、トマト、チーズ、干し椎茸、ホタテなどの他、
量はたくさん摂れませんが、ナムプラー、醤油、味噌などの発酵調味料も、グルタミン酸を多く含んでいます。
参考 特定非営利活動法人 うま味インフォメーションセンター 「うま味を多く含む商品一覧」
昆布をとるときは、ヨウ素に注意

昆布茶や粉末昆布からの、ヨウ素の摂りすぎには注意
「ガッテン」では昆布茶を振りかけている画面で、昆布茶に含まれる塩分への注意を促していました。
塩分を含まない昆布の粉末も販売されているので、そうしたものを使うのもおすすめです。
「昆布ダシをとるのを忘れてしまった!」というときにも、水に溶くだけで使えるので重宝します。
また、お浸しなどに、醤油と混ぜてかければアッという間にだし醤油になります。
ちなみに、私が愛用しているのはこの商品です。
ただし、ヨウ素の摂りすぎには注意が必要です。
「ガッテン」では、一日小さじ1杯の旨味成分を2週間摂取する実験をしていました。
2020年版の「日本人の食事摂取基準」によれば、ヨウ素摂取の成人推奨量は、130μg(マイクログラム)/日、耐容上限量は3mg/日(3,000μg/日)とされています。
粉末昆布は、粒子の細かさにもよりますが、小さじ1杯がだいたい2g程度です。
乾燥昆布は1g中に2,400μgのヨウ素を含むので、毎日小さじ1杯とすると4,800μg(=4.8mg)となり、これだけで1日の耐用上限量を超えてしまうことになります。
- 10mg/日程度までの高ヨウ素摂取が間欠的に出現することは問題ない
- 1週間当たり20mg/日程度までに留めることを推奨
「日本人の食事摂取基準」には、上記のような留意事項が書かれています。
粉末昆布だけで毎日小さじ1杯の旨味成分!と考えると、この留意事項にある数値も超えてしまいます。
特に、海藻や魚などからのヨウ素摂取もあるので、注意してください。
「毎日昆布粉末を何かにかけて小さじ1杯摂ろう!」ではなく、昆布だしや昆布製品、チーズやトマト、キノコ類、貝類など、バランスよく食べることが大事といえそうです。
まとめ
- 旨味感度が低いと、食べ過ぎから肥満になる可能性が指摘されている。
- 旨味(グルタミン酸)をたっぷりとることで舌の旨味受容体を増やすことでき、旨味感度がアップする。
- 旨味はさまざまな食材に含まれており、特に昆布の他、チーズやトマト、キノコ類、貝類などに多い。
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