台湾や中国でも干したけのこは作られています。
- 友人からのお裾分けで初めて試してみた台湾の干したけのこ「筍茸」
- 商社マンにいただいた乾燥メンマ
- 中国安徽省で出会った干し姫皮
についてご紹介しますね。
目次
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サステナブル料理研究家、一般社団法人DRYandPEACE代表理事のサカイ優佳子です。
2011年からは特に、現代のライフスタイルに合わせた乾物の活用法の研究、発信に力を入れています。
食品ロス削減、省エネ、もしもの時の備えになり、そして意外かもしれませんが、料理を時短にしてくれるのが乾物。
いいことだらけの乾物を、ふだんの食卓に取り入れる方法を、このブログでもいろいろお伝えしています。
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1 台湾の干したけのこ「筍茸」
名前は「筍茸」

お友だちから分けてもらった台湾の干したけのこは、発酵臭が
2019年のある日、近所に住む友人から連絡があり、
「前にお話した台湾で買ってきた『くっさい、タケノコのようなもの』を一度持ち込んでもいいですか?
正体を確かめていただきたいのと…調理方法など教えていただけると大変ありがたいです。」
というので、お持ちいただきました。
その「タケノコのようなもの」は、黄色くて柔らかく、発酵臭がしています。
さて、その正体は?調理法は?探ってみることにしました。
友人からの情報は
- これはたけのこだと言われた
- 豚肉と炒めると美味しいと言われた
- 臭い
だけでした。
台湾のサイトをみて探してみたら、「筍茸」というのが、どうもこのお土産の干したけのこの正体のようです。
- 豚肉と炒めたり煮たりすると良い
- 鶏肉と煮ると美味しい
- お粥に入れると「画竜点睛」
などの情報があったものの、肝心の戻し方が書かれた記事が見つかりません。
台湾では常識だから、省略しているのでしょうか?
「水で何度か洗って(すぐに)炒める」と書いている記事も多いのですが、友人によれば、「ちょっと戻して煮てみたんだけど、硬くて、、」とのことなのです。
そんな中、「二日水につけてみました」と書いている日本語のブログを発見しました。
二日???
「この柔らかさなのに、二日も戻す必要があるだろうか?」と疑問に思い、自分で研究してみることにしました。
筍茸の戻し方

台湾産の干したけのこが戻ったところ。黄色が薄くなっています。
国産の干したけのこの記事に書いた、小さな干したけのこを戻す時のパターンを試してみました。
戻し方
- 洗う。
- 水から入れて蓋をして沸騰させる。
- 弱火で5分茹でる。
- 火を止めて、放置。
放置時間について
特に保温性が高い鍋ではなく、普通の雪平鍋を利用しましたが、他のことをしていて1時間後にみてみたら、すっかり柔らかく戻っていました。
放置時間は、もっと短くても大丈夫そうです。
孟宗(もうそう)の時は、20分程度だったので、おそらくその程度で大丈夫と思います。
実物がもうないので、実験できないんですよね!
筍茸を料理する

台湾の干したけのこ=筍茸を戻して、炒めてみました。
乾燥していた時にはかなり強い発酵臭がしましたが、戻して料理をすると、それがいい感じの特徴に感じられてと〜っても美味しかったです。
国産の干したけのこに比べて、ぐっと柔らかいのも特徴です。
ちなみに、上の写真は、戻したキクラゲ、さっと茹でた絹さや、戻した干し椎茸、ちょっとの豚肉とを炒め合わせ、ナムプラー:オイスターソースを1:1で調味したものです。
この味付け、シンプルですが、だいたい何を炒めても美味しい、ウチの定番超お気楽調味法です。
改めて、筍茸とは?

大多喜の家の庭で収穫した破竹
改めてネットで情報を調べてみたら、原料は麻竹(マチク)のたけのこ。
日本にはない種類と、言われています。
破竹(ハチク)や真竹(マチク)と似た種類で、後述するメンマの原料と同じたけのこです。
ネット上の麻竹の写真をみても、上記の破竹とどこが違うのかよくわからないんですけどね(笑)。

茹でた破竹
先端の柔らかいところだけを集めて、茹でてから塩漬け乳酸発酵させているのだとか。
來自南投山上的麻竹筍,取筍子最嫩的前端,川燙後加鹽醃製兩個月
拙訳「(台湾)南投(県)の山の麻竹の筍のもっとも尖った先端を、水と一緒に鍋に入れて湯がいてから、塩をして2ヶ月漬けました」
参照 : 上下游 News & Market
中国産乾燥メンマはカチンカチンに硬い(この後に写真を載せています)のと比べて、本当に柔らかいんですよね。
部位だけの問題ではないようにも思えるのですが、原料も製法も同じなのに、何でここまで食感が違うのでしょうか。
*中国メンマについて調べていたら、なんと日本語のサイトでこの謎が解けました!(後述)
2 中国の乾燥メンマ(乾筍)
メンマの原料

干したけのこといえば、やはりメンマは外せません
中華そばにはお約束の、味付けメンマ。
台湾のたけのこについてのところで書きましたが、乾燥メンマの原材料は麻竹(マチク)で、日本にはないと言われています。
私たちが一般的にたけのこと認識している孟宗竹とは、種類が違います。
メンマの発祥は台湾なのだそうですが、台湾のメンマは柔らかすぎることから、中国産のメンマにシフトしている会社が多いとのことです。
(そうなのか!謎が解けました!同じ麻竹でも中国産と台湾産とでは柔らかさが違うんですね。)
乾燥メンマの作り方
メンマを製造している会社のサイトなどを見ると、メンマを作る工程はこんな感じです。
最近は、「発酵が十分でない粗悪品が出回っている」と注意を促している記事もありました。
乾燥メンマ作りの工程
- 麻竹を茹でる。
- 1ヶ月以上塩漬けする(乳酸発酵)。
- 干す。
- 半乾燥状態で、平らにのす。
- さらに干す。
参考ページ : 株式会社大門 「メンマのふるさと」他
2015年に、商社で中国系の食材の輸入をしている男性からメンマをいただいて、彼がくれたレシピに沿って丸3日かけて戻した記憶があります。
その中国乾燥メンマは、カチンカチンに硬くて平らにのされていました(細切りのもありましたが)。
見た目は、スルメの胴体部分かと思いますよね(特に写真左上)。

商社マンにいただいた中国の乾燥メンマ
乾燥メンマの戻し方
メンマとお惣菜のパイオニアという丸松物産さんのHPによれば、
- 85度から90度で3時間茹でる。
- 水を換えて、80度から85度で4時間茹でる。
- 水を換えて、80度まで加熱して、15時間放置する。
- 水を切って完成
参考 :丸松物産 「メンマの戻し方」
とのことです。
メンマ屋大門さんのHPによれば、
- 乾燥メンマの10倍の水に8〜12時間浸ける。
- 水を換えて、沸騰したら弱火で1時間煮る。
- 3時間放置する。
- 水を換えて、沸騰したら弱火で1時間煮る。
- 8〜12時間放置する。
- 水を換えて、流水でアクを抜き、半日から1日浸けて、好みの柔らかさになったら出来上がり。
参考 : メンマ屋大門 「メンマの戻し方」
商社マンからもらった戻し方のレシピは、メンマ屋大門さんのものに近かったように思います。
中国産メンマを戻した時の写真をお見せしますね。

茹でたり、水替えしたり、で戻すのに3日もかかる中国メンマ

中国メンマを水につけて戻しているところ

3日目でもまだ戻してます
戻したメンマは、炒めて醤油と酢(できれば中国の黒酢など)で調味してネギを散らしてラー油をかけて、ピリ辛味にして食べました。
さっぱり美味しかったです。
ただ、正直なところ、これなら塩漬けのメンマを塩抜きして作るで私はいいかな、という感じです。
3日は、私にも長すぎるし、手間がかかりすぎです(笑)。

3日かけて戻したメンマ、完成!頑張った!
おつまみにも!味付けメンマのレシピ

おうちラーメンのトッピングにも、おつまみにもぜひ!
国産干したけのこの記事にも書きましたが、味付けメンマの作り方をここにも載せておきますね。
普通のゆでたけのこで作っても美味しいですし、国産の干したけのこを戻して作っても美味しいです。
中国の乾燥メンマが手に入って3日かけて戻すつもりがあれば、ぜひそれでも挑戦してみてくださ〜い!
材料
- (戻した)たけのこ 350g
- 鶏ガラスープ 100ml
- 醤油 大さじ1
- みりん 大さじ1
- 酢 小さじ1
- 赤唐辛子 1本
作り方
- すべての材料を鍋に入れ、火にかける。
- 煮汁がほぼ煮詰まるまで、火を通す。
3 おまけ:中国安徽省で出会った干したけのこ

中国の安徽省で見かけた、たけのこを干す風景
2016年の5月、中国の安徽省を旅していた時のこと、たけのこを干す風景を見かけました。
特に、景観の美しさで有名な西递村や宏村では、たけのこを部位によって干し分け、使い分けていて驚きました。
姫皮の乾物

「尖」は、穂先の尖った部分、「衣」は、姫皮。
民家の軒先に干したけのこが並べられ、売られていました。
ちなみに、この写真にある「冬笋」というのは、立春前にまだ土の中にいる孟宗竹(中国語で南竹あるいは毛竹)のたけのこを収穫したものだそうです。
これに対して、春笋と呼ばれるのは、立春後に地面から顔を出している(あるいは全部が外に出ている)たけのこです。
冬笋是立春前还没有出土的南竹的幼笋,春笋是立春后已经在泥土面上冒尖或者全部出土的南竹的笋。
参照 :「冬笋和春笋的区别」

中国安徽省で食べた干した姫皮の炒め煮。酸味のある味付けでした。
姫皮まで干して食べるって、エコですよね。
珍しいので、買い求めて家に戻ってから戻してみました。
国産たけのこのブログに書いた「大きな干したけのこの戻し方」を採用し、水とともに鍋に入れて沸騰させて5分ほど火を通してから、そのまま7〜8時間放置してみました。

2016年の旅のお土産に買い求めた、姫皮の乾物

国産の大きな干したけのこと同じ方法で戻してみました
姫皮の乾物を戻してみたら、こんなにきれいな色に戻りましたよ〜感動!

干した姫皮を戻して作った炒めもの
戻した姫皮を使って、お肉少々と青菜と一緒に炒めてみました。
これも、ナムプラーとオイスターソース1:1の割合で調味しています。
いわゆるたけのこの身の部分の方が、歯応えがあって私は好きですが、これはこれで面白いです。
食べたことがないものは、やはり試してみたいんですよね!
まとめ
国内のみならず、台湾でも中国でも、たけのこを干して料理に使っています。
実は、instagramに庭の破竹を収穫して料理した写真を載せたら、同じ日にネパールの人がやはり庭で破竹を収穫してカレーにしており、二人で「なんて偶然なんだ!」と盛り上がってしまいました。
ネパールでも食べるのですね。
ということは、きっとネパールでも、またたけのこ料理が多いタイでも、干したけのこ文化はあるに違いありません。
もっともっと知りたい!と思った海外干したけのこ事情です。
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