ブータン料理って知ってますか?
食べたことはありますか?
数年前にブータン国王ご夫妻が来日し、GDPではなく、「国民総幸福量」(GNH≒Gross National Happiness)を追求する国として、一躍日本でも注目を浴びることになりました。
友人に「ブータン料理のお店に行きませんか?」と誘われた時に、そういえばブータンの人がどんなものを食べているかって全く知らないことに気づきました。
サステナブル料理研究家、一般社団法人DRYandPEACE代表理事のサカイ優佳子です。
2011年からは特に、現代のライフスタイルに合わせた乾物の活用法の研究、発信に力を入れています。
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目次
1 ブータン料理とは?
珍しい料理を食べるときには、予習が欠かせません。
ざっとネットで調べてみたところ、ブータン料理にはこんな特徴があるそうです。
ブータン料理の特徴
- 唐辛子を野菜のように食べ、世界一辛い?
- 調味料は、塩、中国山椒、チーズ?程度
- 食材や料理のバリエーションが少ない
唐辛子を野菜並みの量食べるとなれば、それは辛いでしょうね!
ブータン料理に唐辛子料理が多い理由
唐辛子は高地でも育てやすいから
ブータンは、3,000m以上の高地が全国土の44.6%、1,200mから3,000mの中高度地域が40.3%と、山を中心にした国なので、耕地面積も少なく、育つ作物も限られているそうです。
唐辛子はそうした土地でも育てやすい作物なので、「野菜のように」大量に食べるようになったとする説があります。
農作業で体力を使うから
「乾物カレーの日」プロジェクトでお世話になっている風の旅行社さんでは、ブータン旅行も催行しています。
同社のブータン人ガイドさんによれば、「農作業で体力を使うので、ご飯をたくさん食べる必要があったのでしょう。辛いものは食欲をそそりますから」とか。
ブータン人の食事は、ご飯とおかず一品が一般的なのだそうです。
調味料、食材、調理法のバリエーションが少ない理由
1971年まで鎖国政策をとっていたことから、昔からの食文化が守られる一方で、調味料も食材のバリエーションも少なかったことも考えられます。
ただ、これも風の旅行社さんのHPで知ったのですが、ブータンでは日本でもよく使われる野菜をたくさん見かける、というのです。
ブータンにある野菜の多くは西岡京治さんという日本人がブータンに種を持ち込み、栽培方法を指導したのです。
西岡さんは1964年にブータンに渡り、28年もの間農業を指導され、生産性を飛躍的に上げることに成功しました。
当時の国王はその功績を讃え、西岡さんにブータンにおける民間人の最高位「ダショー」の称号を贈りました。
西岡さんのことはほとんどのブータン人が知っているのだとか。
ということは、1964年以前は、野菜が相当限られていたとも考えられますよね。
伝統的料理ではバリエーションが少なくても、今は変わってきているということなのかもしれません。
2013年から2015年のブータンの食
最近のブータンの食事状を知りたいと思い、「給食のおばさん、ブータンへ行く!」(平澤さえ子著、飛鳥新社)という本を手に取りました。
この本の中に出てくる、現地で入手できた食材は、以下の通り。
トウモロコシ、ナシ、イチゴ、マンゴー、バナナ、小豆のような豆、にんじん、キャベツ、パン、小麦粉、バター、自家製チーズ(無発酵)、りんご、きゅうり、ジャガイモ、玉ねぎ、ニンニク、生姜、川魚、干した魚、トマト、大根、ブロッコリー、スイカ、レーズン、クルミ、一度だけ見かけた缶詰のソーセージ。
インドからの輸入品として、他に手に入るものも多少はあったようです。
学校の給食調理室にあった調味料は、砂糖、塩、油、唐辛子、ミックスジャム、大量の唐辛子だけだったとも書かれています。
ただ、特別な日に作られたご馳走には、ターメリック、コリアンダー、ジラマサラ(正体不明)などの香辛料がたっぷり使われていたと書かれてもいます。
場所はインドとの国境に近い、南部のゲレフという田舎町での事情ですが、例えばみんなの憧れの料理がピザであったり、西洋のお菓子作りに目を輝かせる様子など、現地の食の事情を窺い知ることができます。
情報や人の出入りが増えて、これからブータンでも食の多様化が進んでいくのかもしれませんね。
ちなみに、この本、定年間近になって「ブータンで給食改善の活動をしてみない?」と声をかけられて即決し、単身ブータンに渡ったという平澤さんの冒険譚でもあり、とても楽しく読め、また元気ももらえる好著です。
2 ブータン料理を食べてみた
国民的おかずという「エマダツィ」
都内、代々木上原にあるブータン料理専門店「ガテモタブン」で食べてみました。
まずは、国民的料理ともソウルフードとも言われるエマダツィ。(エマ=唐辛子、ダツィ=チーズ)
激辛という話を聞いていたのですが、まあ辛いかなという程度です。
お店のホームページに、日本人向けに辛さを抑えているとあったので、本場ではこんな辛さではないのかもしれません。
チーズがたっぷりで、こういう食べ方はアリだな!と思いました。
つまり、家で作ってみようというわけです。
付け合わせには、赤米、エマダツィはご飯に合います。
花椒風味のサラダ「ホゲ」
花椒、粉唐辛子、塩、生姜、カッテージチーズで調味されています。
トマト、きゅうり、玉ねぎ、大根が入っていました。
花椒風味の生野菜のサラダというのが、新鮮です。
これも「作ってみようリスト」にオン!しました。
肉料理の代表 パクシャパ
肉料理の代表といえば、パクシャパー(大根との煮込み)なのだそうです。
肉は、現地流の干し肉(スィッカム)に変更をお願いしました。
硬くてかみごたえがあって、味わい深く旨みもあってマル!です。
(シャが肉という意味。パクシャは豚。ちなみに牛はノシャ、鶏はジャシャ、ヤク肉はヤクシャなんだそうです。)
これにも、当然唐辛子が入ります。
ネパールでも、スクティと呼ばれる干し肉が使われます。
肉を干すのは、冷蔵庫がない時代の知恵なんでしょうね。
家で再現するには、干し肉がちょっとハードル高いですが、先にご紹介した平澤さんの本の中では、豚バラ肉で作るレシピが紹介されています。
蒸し餃子モモ
モモといえば、チベットやネパールなどでも食べられている蒸した肉饅頭あるいは餃子のような食べ物です。
ブータンでもポピュラーなのだそう。
食べなれた味という感じです。
エゼと呼ばれる唐辛子ペーストを添えるのが、ブータン流?、どんな料理にも、唐辛子ですね(笑)。
ブータンは、ビールもよく飲むのだそうです。
モモには、やはりビールが合います。
3 ブータン料理を作る
ケワダツィを作る
じゃがいも入りというケワダツィも、ブータンではよく食べられるというので、こちらを作ってみました。
ケワはジャガイモという意味です。
エマダツィにジャガイモがプラスされたと考えて良いようです。
平澤さんの著書や、ネットでのレシピを参考に作ったら、かなりいけます。
そして辛い料理大好きな我が家の味覚に合わせて、大きめの生の青唐辛子、赤唐辛子を5本ずつ投入してみました。
ジャガイモが甘く感じられ、溶けたチーズがこってりしてなかなか美味しくできましたよ!
現地では水牛のチーズを使うというので、モッツァレラチーズを使ってみました。
家族にも好評でしたよ!
ケワダツィの大まかなレシピ
これからまだ改良予定ではありますが、大体こんな感じで作ってみました
材料
- 生姜 すりおろし 小さじ1/2
- 玉ねぎ 薄切り 1/4個
- ジャガイモ 7mm厚さ 2個
- 生唐辛子 縦に半分に割って 10本
- モッツァレラチーズ 細かくして 100g
- 油 小さじ2
- 塩 少々
作り方
- 鍋に生姜、玉ねぎ、ジャガイモを入れて、ひたひたの水(材料が少し頭を出すくらい)を加えたら、蓋をして煮る。
- ジャガイモがまだ少し固いかなというときに、唐辛子とチーズ、油を加える。
- ジャガイモが柔らかくなり、チーズが溶けるまで加熱する。
- 塩で味を調える。
花椒を加える人もいるようですし、トマトをプラスするレシピもあります。
翌日残ったものに火を通して水分が飛んだら、さらに美味しくなりました。
ブータンでも、水分多めのものと、ほとんど飛ばすものと、地域によって分かれると書いている記事も見つけました。
分量は、ある程度適当でも美味しく作れると思います。
唐辛子の量は特に、加減してくださいね。
ガテモタブンのケワダツィのレシピが、「ブータン 山の教室」という映画の公式サイトに載っていますので、ご参照くださいね。
ホゲを作る
黙って家族に出したら、花椒の風味が来るとは思わず驚いたとのことでしたが、あまりにも気に入って、自らその後レシピを調べて作ってみたというほどの気に入り用でしたよ。
ホゲの大まかなレシピ
材料
- 紫玉ねぎ 薄切り 1/4個
- ミニトマト 半分に切る 6個
- きゅうり 斜め薄切り 1/2本
- 生姜 みじん切り 小さじ1/2
- カッテージチーズ 50g
- 塩 少々
- 花椒の粉 少々
作り方
- 材料をすべて合わせて、よく混ぜる。
まとめ
「ブータン料理を食べに行きませんか?」というお誘いから、いろいろ調べ、食べ、実際に作ってみました。
未知の料理に出会うのって、本当に楽しい!
いつかブータンを実際に訪れて、家庭料理を味わってみたいです。
詳細は、こちらをご覧くださいね。
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