サステナブル料理研究家、一般社団法人DRYandPEACE代表理事のサカイ優佳子です。
2011年からは特に、現代のライフスタイルに合わせた乾物の活用法の研究、発信に力を入れています。
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「サカイ優佳子の 楽しく 美味しく 未来を創る」
高野秀行さんの本は、何冊も読んでいます。
どれも夢中になって読んでしまうんですよね。
今回読んだのは、「幻のアフリカ納豆を追え!そして現れた<サピエンス納豆>」。
ボコハラムなど武装勢力の危険と隣り合わせの中、納豆らしきものがある!と知れば、どうにかしてその作り方、食べ方を見にいってしまう行動力は、この前編ともいえる「謎のアジア納豆 そして帰ってきた<日本納豆>」にも増してパワフル。
遠いアフリカの国々の様子を文章から想像しながら、納豆の謎解きミステリーを読んでいるようなワクワク感を堪能しました。
ほぼ同じ内容の音声配信はこちらでお聴きいただけます。
standFM 「サカイ優佳子の 食卓で世界旅行」
目次
1 西アフリカは、世界最大の納豆地帯
2 納豆をめぐる冒険
3 アフリカ納豆のはずなのに、韓国納豆も?
4 高野さんと小倉ヒラクさんの対談は、やはりマニアックだった!
まとめ
1 西アフリカは、世界最大の納豆地帯
高野さんは、何度かの探索の旅を終えて、「西アフリカは、世界最大の納豆地帯である」という結論に達します。
「納豆は日本固有のもの」と思っている人が多い日本人にとっては、衝撃の事実です。
ナイジェリアの「ダワダワ」、セネガルの、その名も「ネテトウ」、ブルキナファソの「スンバラ」。
それぞれの納豆作りに立ち会い、その謎に迫っていきます。
西アフリカで食べられている納豆の多くは、パルキアという木になる豆から作られています。
殻が固く、大豆より扱いにくいものの、その豆は姿が納豆にとても似ているのだそうです。
その納豆作りの方法は、灰を入れる、瓢箪(ひょうたん)の実の中で発酵させる、パルキアの綿を混ぜる、杵と臼で搗く、豆を煎ってからひきわりに、など各地でそれぞれの工夫をしており、半生で食べる、粉にする、団子にする、スモークする、干すなど、保存方法もさまざま。
そして食べ方も、ダシだけとって調味料として利用する、炊き込みご飯にする、オクラと一緒にご飯と食べる、プレ・クスクス(鶏肉・クスクスという意味)という料理で、鶏肉とクスクスと共に蒸し焼きにするなど、バリエーション豊かなことに驚かされます。
プレ・クスクスに挑戦してみようかな、と思ってしまいました。
そして、ハイビスカスの種で作る納豆や、今はあまり作られなくなってしまったけれど絶品のバオバブ納豆(そう、あの「星の王子様」の木です)を作るところもみにいき、当然食べてみるのです。
私も、食べてみたい!
2 納豆をめぐる冒険
アフリカの納豆文化圏は、なぜか過激派勢力の危険地帯とかなり重なっているので、その地域に入るのを避けながらも納豆の真相に迫る旅は決行されます。
「誰も行かないところへ行き、誰もやらないことをし、誰も書かない本を書く」という高野さんのポリシーはこの本でも貫かれています。
世界最貧国とも言われ、子どもたちが兵士にされているなど、悲しいニュースばかり聞くブルキナファソでの、「天国のような時間」を過ごすなど、この本を読んでいると、高野さんのガイドで西アフリカの辺境を旅しているような気分にすらなります。
高野さんの文章がまた独特のユーモアに溢れ、その先は?それで?とどんどん読み進んでしまうのです。
ストーリーテラーとしての才能に感服です。
3 アフリカ納豆のはずなのに、韓国納豆?
タイトルはアフリカ納豆なのですが、アフリカへの旅の間に韓国にもまた納豆を求めて旅しているため、韓国納豆チョングッチャンについての章が挿入されています。
これもまたおもしろい!
韓国でも大豆で同じように納豆を作っているのに、なぜそれを日韓でお互いに認識できていなかったかの謎も解けます(ぜひ読んでみてください)。
また、韓国の醤油や味噌と、日本のそれらとの違いも、実は納豆菌にあることに高野さんが気づいていく過程も興味深く読みました。
茹でた大豆を潰して四角く整形し、稲わらでゆわえて吊るして作る「メジュ」が鍵!なのです。
4 高野さんと小倉ヒラクさんとの対談はやはりマニアックだった
2020年11月2日に、下北沢の書店B&Bで開催された高野さんと、「発酵文化人類学」などの著書で知られる発酵デザイナー小倉ヒラクさんの対談をオンラインで視聴していました。
このお二人なので、マニアックな話がたっぷりで本当におもしろかったです。
この対談を聞いたあと、前から作ってみたいと思っていたレモングラス納豆を、庭のレモングラスを使って仕込んだんですよねw。
詳しくは、こちらのブログにてお読みいただけます。
まとめ
その後の調査で、アフリカの納豆の原料になる豆、パルキアには、タンパク質と脂質が多く含まれ、炭水化物の比率は低く、この点で大豆と共通していることがわかります。
大豆の祖先?とも考えられるツルマメで納豆を作る日本の研究者との出会いもありました。
そして、高野さんは、「大豆で納豆を作る」のではなく、「納豆が大豆を作ったんだ!」という結論に至るのです。
納豆好き、旅好きにはたまらない一冊。
超おすすめです!
この本を読みだしてから、毎日おやつに納豆を食べてます(笑)。
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