【食を読む】「激安食品の落とし穴」に意外な嬉しい発見!

激安商品の落とし穴

2019年3月に開催した食に関する読書会「シェアReadingの会」のテーマは、「食べもののホントのコストを考える」でした。
そのテーマの本をあれこれ探している中で手にしたのが、ヤマケンこと山本謙治さんの著書「激安食品の落とし穴」でした。

こうしたタイトルの書籍にありがちな、不安を煽るものではなく、ヤマケンさんらしく、なんでも食べてみるし、現地に足を運んで取材して書かれている内容には、正直驚くものもありました。

ほぼ同じ内容の音声配信はこちらでお聴きいただけます。

目次
1 真っ当に作ったら、本当のコストは?
2 「化学調味料無添加」に騙されない
3 真っ当に作ってもコンビニ価格を実現している会社がある
4 知った上で選びたい


1 真っ当に作ったら、本当のコストは?


お弁当、ハンバーガー、納豆、豆腐、醤油、たまご、ハムやソーセージ、惣菜、調味料など、私たちが普段口にするものを、もし著者が適切と思う材料、方法で作ったらそのコストがどのくらいになるのかを計算して提示。

なぜ安いのか、そのカラクリを知った上で選んでほしいといいます。
高くても日本で作る原料で作ったものは美味しいなら、それで買う人もいるのではないか、と。


2 化学調味料無添加、に騙されない


化学調味料無添加でも、化学的に合成した旨味を加えている商品はたくさんある、と著者は言います。

例えば、「たんぱく加水分解物」は、たんぱく質原料を酸で分解し、旨味を得たもの。
「酵母エキス」は、酵母を培養したものを酵素などで分解してアミノ酸や核酸系化合物を得るもの。

「化学調味料無添加」と書かれている商品でも、原材料表示をみると、こうした文字が並んでいるものも少ないと著者は指摘します。

食育ワークショップや乾物の教室を開催している中で、ダシあてクイズをしたときに、昆布だしを味わってもらっても「水」と答える人が意外に多いことに愕然とすることがあります。

こうした化学調味料が、カラダにどういう影響を及ぼすかは、専門家ではない私にはわかりません。
でも、少量加えるだけでも爆発的に旨味が増すものを普段から口にしていると、繊細な旨味を感じられなくなるということについては、確かにそのようだという感覚があります。


3 真っ当に作ってもコンビニ価格を実現している会社がある!


ところで、コンビニのお惣菜といえば、添加物てんこ盛りではないかと思う方も多いのではないでしょうか。
私もそうでした。
そもそも、お惣菜を買うことが滅多にないので、そのあたりの知識が少ないということもあるかもしれませんが、この本に書かれていた(株)ヤマザキには驚きました。

自社で天然だしをとって使っている。
農産物は輸送によって傷むとの考えから、産地に惣菜工場を作っている。
選果による傷みを避けるために、農家から直接無選別で送ってもらっている。
そして、余計な混ぜ物なしで「コンビニ価格」を実現している。

執筆時点(2015年)ではセブンイレブンやヨーカドーがヤマザキのポテトサラダを販売していることが紹介されています。

家で料理を作る人が多い社会であってほしいと思っていますが、社会はそうではない方向に進んでいるのは確実です。
そうであれば、真っ当な材料と調理法のお惣菜が手に取りやすい価格で売られている社会であってほしいと思います。

88才になった母が、調理が面倒になって近くのコンビニで惣菜を買っていると言います。
栄養士の資格も持ち、料理上手な方といってもいい母だったのにそうなってしまうんだなあと、ちょっと寂しいのですが、そんな話を聞くと、毎日でも安心して食べられる手頃な値段のお惣菜が、地元ののコンビニやスーパーで手に入るというのは社会のインフラとして必要なことかもしれないとも思うこの頃です。


4 知った上で選びたい


いくらでもお金があれば、質が良く美味しいものを好きなだけ買うことができるでしょうが、実際は家計を考えながら食べものを買う人が圧倒的多数。
そんな中でも、その食べものがどう作られているのかを知った上で何を食べるかを選ぶことは大切と思います。

どの会社に、誰が作ったものに、どんなものにお金を払うかは、自分の価値観の現れ。
「こうでなければならない」という食育ではなく、「あれもあり、これもあり。でも私はこれを選ぶ」というのが、食育のあり方かなといつも感じています。

それは時により、状況により変わることはあるかもしれません。それでもいいと思います。
意識をしていれば。

そのためにも、食に関する知識はちゃんと知っておきたいなと改めて思います。

【食をテーマに本を読む】
2018年から月1回ほどのペースで続けているシェアReadingの会「食を読む」では、食をテーマに本を読んでいます。
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ABOUTこの記事をかいた人

サステナブル料理研究家/一般社団法人DRYandPEACE代表理事
東大法学部卒。外資系金融機関等を経て、娘の重度のアトピーをきっかけに食の世界に。

食には未来を変える力があるという信念のもと、今のライフスタイルにあった乾物や米粉の活用法を中心にレシピを開発している。
料理教室の開催、企業向けメニュー開発、研修など多数。

料理を自由に発想でき、毎日の料理が楽しくなる独自の「ピボットメソッド」を考案。個人やメニュー開発が必要な方向けのトレーニングも行っている。

著書14冊。メディア出演多数。

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