エッセイストの平松洋子さんの文章に初めて触れたのは20代。
おそらく当時愛読していた雑誌「クロワッサン」でではないかと思うのです。
当時から、平松さんの食を語る、その語り口に魅力を感じていました。
ほぼ同じ内容の音声配信はこちらでお聴きいただけます。
目次
1 「肉とすっぽん」を読んで
2 肉と人との太く濃い関わり
1 「肉とすっぽん」を読んで
まあ、このタイトルからして唸ります。
「肉を食べる意味の根源を探りたくて、まず、ひとつの文化として肉をめぐる諸相を捉えよう」とした本とのこと。
羊、猪、鹿、鳩、鴨、牛、内臓、馬、すっぽん、鯨の10章で構成されます。
狩りや解体の現場の描写は臨場感に溢れ、脳裏に絵が浮かんできました。
美味しい肉を味わうときに、人がふと漏らす言葉を汲み上げ、
肉の美味しさや、それに関わる人々の姿を描き出す言葉の選び方には脱帽。
平松さんでなければかけない文章だなと思います。
圧巻は、石川県の鴨の坂網猟の描写。
文章を読みながら、思わず息を詰めている自分に気づきました。
2 肉と人との太く濃い関わり
この本には、
狩った動物に、苦しい思いをさせず、美味しい肉に仕立てる人
精一杯の思いを込めて、渾身の肉を育てる人
熟練の技で、肉を捌く人
肉がもつ命の力を、無駄にせずに美味しい料理に昇華させる人
様々な人の物語があり、その人と肉との関わりがあり、、、、。
紹介されているお店を端から訪ねてみたいと思ってしまう私がいました。
グイグイ引き込まれてあっという間に読み終わってしまうと思いますが、次に肉を食べるときに、「この肉は、、」ときっと色々な思いとともに食べることになると思います。
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