【食を読む】未読OK、予習不要。別の本を一緒に読み、対話する不思議な読書会

オンライン読書会

今日は月に1度開催しているオンラインのシェアReading「食を読む」読書会を開催しました。

参加者は、食に関する本を一冊ずつ持ち寄って、ともに読む時間を過ごしました。
ほぼ同じ内容を音声でも配信しています。こちらをどうぞ。

目次
1 未読OK、予習不要。みんな別の本を読むのに、一緒に読書できる不思議な読書会
2 リアルの読書会とオンラインの読書会の違い
3 今日集まった本のご紹介
4 一緒に読むことの醍醐味とは?
5 本を介することで初対面でも対話ができる


1 未読OK、予習不要。みんな別の本を読むのに、一緒に読書できる不思議な読書会


シェアReadingの会「食を読む」は、今までの読書会とはかなり違います。

食をテーマに、参加者の方々と、人数分の本を一緒に読む読書会です。
時間は2時間。

速読の会ではないので、もちろん精読する時間はありません。
短時間で集中して、まずは自分が選んだ本の全体像をざっくり捉え、それを発表します。
その後、参加者各自が、他の人が選んだ本に対して質問を投げかける時間。
続いて、自分が担当する本の中に、みなさんから寄せられた質問の答えを探して集中します。
最後にその答えを発表してもらい、そこからまた感想や意見やコメントをお互いにしていくという2時間なのです。

精読したいと思えば、会が終わってから個人で読んでいただきます。
でも全く何も知らずに一人で読むのと、こうした場を持った後に読むのとでは、深まり方が違うのでは?と思います。


2 リアルの読書会とオンラインの読書会の違い


Read for Actionという団体の公認リーディング・ファシリテーターの資格をとり、2018年はじめからほぼ毎月、横浜市緑区の中山でシェアReading「食を読む」をリアルで開催してきました。

コロナもあって、一時おやすみし、5月にオンラインの第一回を、その後、9月に2回目を開催。
今日はオンラインでの3回めでした。
今日は比較的近い方々のご参加でしたが、海外や地方からもご参加いただくこともあり、これは、オンラインだからこそのメリットと感じています。
オンラインの場合は、それぞれが一冊ずつ本を持って参加という形になります。

リアルの会の時は、例えば肉食とか、土壌についてとか、農業問題、世界の伝統食について、漁業について、発酵についてなど、その時々でテーマを決めて、ファシリテーターである私が人数分以上の冊数の本をセレクトしてお持ちします。
参加者の方々にも、もちろんそのテーマに沿ってオススメの本や読んでみたい本があればお持ちいただき、集まった本の中から、その場で好きな本を選んで読んでいただくスタイルをとります。

進め方は基本的に1に紹介したものと同じです。

ただ、リアルの場合は、誰もが初めて手にする本を読むことになります。

また、本に対する質問を考えるときには、参加者の方々が選んだ本を手にとって眺めながら質問を考えることができるという点がちょっと違います。


3 今日のシェアReadingの会で集まった本


今日は私を含めて5名。男性2名、女性3名。
30代から多分50代まで。

読んだ本は、以下の5冊
①「リスク」の食べ方 食の安全・安心を考える  岩田健太郎
あのダイヤモンドプリンセス号で一躍有名になった感染症の専門医による本。
忖度せずに自分の主張を展開する面白さがありそうでしたよ。
レバーを生で禁止するなら、他にも禁止にすべきものはあるし、、、などの記述もあったようです。

②酵母から考えるパン作り 志賀勝栄
あのシニフィアン シニフィエの志賀さんの本。かなりマニアックで、初心者向けではなさそう。
普段から酵母を起こしてパン作りをしている男性が持ってきてくれました。写真も美しい。

③アノスミア  モリー・バーンバウム
料理家になる道を進んでいたのに、事故で嗅覚を失ってしまった女性の体験記。
嗅覚と食だけではなく、嗅覚と感情についてなども語られます。
彼女が嗅覚とは何かを追求し、取り戻していくまでの奮闘記でもあります。

④なぜ「りんご」は身体にいいのか  櫛引博敬
青森出身のりんご研究者による書。日本でりんごが盛んに栽培され始めたのは、明治維新で武士たちが失業し、その仕事を作るために、アメリカからりんごの苗を入れて北海道、岩手、青森、長野に植林したことから。そして当時は小さいりんごばかりだったというお話も!

⑤エコノミストの昼ごはん コーエン教授のグルメ経済学 タイラー・コーエン
世界の思想家トップ100にも選ばれる一方、食通としても有名で食べ歩きブログを書いている経済学者による本。
経済学的考察を加えながらの世界の食べ歩き。アメリカの食文化が凋落したのは、禁酒法と第二次大戦と移民の規制によって、良心的なレストランが大量に潰れたことによるという指摘、スローフードは必ずしもファストフードより良いとは言えない、消費者こそが食のイノベーションの主体、など、従来の一般的な主張とは一味違った視点がユニーク。

栄養、流通、発酵、食の安全、嗅覚と食、食と経済、どうやって美味しい食にありつくか、など、さまざまな視点からの本が揃いました。
どんな本が揃うのかは、当日その時間までわかりません。
そして、どんな本が集まるのかは、参加する方によって全く異なります。

「同じ食をテーマにしても、視点、興味の分野が違うと手にする本も全然違っていて、逆に本がその人を語っている感じもしました。」というご感想をいただいたことがあります。まさにそうだなと今日も感じました。

「自分では手に取らない本との出会いを通して、思考のかけらを受け取り頭の中で新たな広がりを感じることができました。」
「参加者の方々が選択された書籍、その内容に関する学びや異なる世代の感性に触れさせて頂き大変勉強になりました。」
など、早速ご感想をいただきました。

いろいろな方がご参加くださることは、だから本当に嬉しいし、楽しいのです。
集まってくださる方々に心から感謝!です。


4 一緒に読むことの醍醐味とは?


私もかつては、本は一人で読むものと考えていました。
でも、今はこの読み方を多くの人にオススメしたいなと思っています。

今日、ご参加のある方が口にしていらしていたのですが、
「自分が選んだ本でも、他の人からの質問を受けることによって、自分一人で読んだら気に留めなかったかもしれないところに気がつくことができました」
このことは、私もいつも感じます。

質問をいただいて、その答えを本のなかに探すという作業では、他の人の視点を取り入れて読書をしていることになるのです。
質問をもらうと脳は働き出します。
答えを待っている人がいると思うと、頑張って探そうという気にもなるのです。
それだけ真剣に集中して本の中に入っていくことができてしまいます。


5 食がテーマの本を介することで、初対面でも対話が生まれる


こうした形の読書会の不思議の一つは、世代も普段の暮らしも全く違う、初めて会う人同士が集まっても、食というテーマ、本という媒体を介すれば、対話が生まれることです。

食は誰にも関わるテーマであり、食について語ることが全くないという人はいないからなのかもしれません。

これが例えば、国際政治をテーマにしていたり、進化論がテーマであったら、何も語れないと感じてしまう人もいるのではないでしょうか。
でもじゃあ、食は卑近なテーマに過ぎないかというと、食は全てのことに繋がっていると言っても過言ではないとも感じています。
食と国際関係という視点もあるし、進化論と食という視点もまた考えられるのです。

シェアReadingの会を通じて、これからも、食の未来を一緒に考える時間と場を作っていけたらと思っています。

毎月オンラインで開催していきますので、興味を持たれたら、ぜひ参加してくださいね。
シェアReadingの会最新情報、スケジュールはこちらをご覧ください。

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ABOUTこの記事をかいた人

サステナブル料理研究家/一般社団法人DRYandPEACE代表理事
東大法学部卒。外資系金融機関等を経て、娘の重度のアトピーをきっかけに食の世界に。

食には未来を変える力があるという信念のもと、今のライフスタイルにあった乾物や米粉の活用法を中心にレシピを開発している。
料理教室の開催、企業向けメニュー開発、研修など多数。

料理を自由に発想でき、毎日の料理が楽しくなる独自の「ピボットメソッド」を考案。個人やメニュー開発が必要な方向けのトレーニングも行っている。

著書14冊。メディア出演多数。

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