乾物をお湯で戻すと、水よりはやく戻るのはなぜでしょうか?
講座でそんな質問を受けたので、調べてみました。
水は高温になるほど粘度が低くなる
学校で習ったように、水の分子は、水素原子(H)2つと酸素原子(O)1つが結合してできています。
ただ、これが水になるためには連なること(水素結合)が必要になります。
常温の水では、5~6個から十数個の分子がクラスターを形成して、水クラスター(=私たちが認識している水)になっています。
水分子はくっついたり、離れたり、自由に動き回っているために、容器の形通りになるなど形を自由に変えることができます。
ここに熱が加わると(温度が上がると)、上記の運動=分子の振動が激しくなります。
それによって、分子同士の間隔が広がり、分子間に働く力が弱まるので、一般に液体の粘度は、高温になるほど小さくなります。
参考 サントリーHP 「水大辞典」https://www.suntory.co.jp/eco/teigen/jiten/science/01/
上記の表とグラフの引用元
流量知識.com ホームページ 「流体の粘度と目安」
https://www.keyence.co.jp/ss/products/process/flowmeter/selection/viscosity.jsp
粘度が低い方がはやく戻る
乾物を水で戻すのと、例えばヨーグルトで戻すのとでは、戻し時間がかなり変わるのは想像がつくことと思います。
これは粘度の違いによります。
水ではなくお湯で戻すことで、乾物がはやく戻るのは、水とお湯との粘度の違いによるのではないかと思います。
はやく戻れば、それでいいのか?
ところで、干し椎茸については、冷蔵庫で8時間ほど戻す方が断然ふっくらと戻り、美味しくなります。
お湯で戻すと、雑味が出るし、はやく柔らかくはなるものの、ふっくらとは戻ってくれません。
昆布は、「月刊 専門料理」の2022年12月号の「実験 だしの引き方最適解」によれば、プロたちの評価で60度で15分がベストと結論されていました。
*利尻昆布を、10通りの戻し方(温度は4度から90度まで、時間は15分から90分までの組み合わせ)と、それで作った一番だしについて、官能評価を行った結果と主成分分析結果がまとめてあります。
例えばお茶についてはこうした研究が進んでいます。
高温だと出やすい成分、温度が低い方が出やすい成分とがあり、お湯の温度や抽出時間でお茶の味わいは大きく変わることがわかっています。
乾物は、お湯だとはやく戻るのは確かなのですが、はやく戻るという以外に、何度だと美味しいのか、どのくらいの時間戻すといいのかなど、今後研究が進むといいなと思います。
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