自家製アンチョビは、材料二つで超簡単!〜絶対失敗しない作り方と保存法

自家製アンチョビを仕込む

「自家製アンチョビって作れるんですか?」という声をよく聞きます。

作れます、簡単に。

そして、オリーブオイルに漬けるという先入観を捨てれば、失敗なく、もっと手軽にアンチョビが作れますよ!

2014年に旧ブログに自家製アンチョビについて書いたところ、多くの方に読んでいただいたのですが、そのうちそちらは閉じるので、こちらにバージョンアップして書くことにしました。

「知ってからは一度も市販のアンチョビを買っていません」という方も続々、なんですよ。

ぜひ仲間になってくださいね。

1 自家製アンチョビの作り方はシンプル

ヒシコイワシ

ヒシコイワシ、カタクチイワシ、セグロイワシなどと呼ばれます

アンチョビ作りに必要な材料

  • ヒシコイワシ(カタクチイワシ、セグロイワシなどとも呼ばれます)

の二つだけです。

「ヒシコイワシが、雪に埋まってしまいそう」というイメージ程度の分量の塩を用意してください。

実は一度も重さを測ったことがありませんが、もう10年以上作り続けていて失敗したことがありません。

塩が少なすぎれば腐る可能性がありますが、多すぎる分には、料理に加えるときに量を加減すれば良いだけのことなので、あまり気にする必要はありません。

自家製アンチョビの作り方

  1. ヒシコイワシは、頭をとり、腹に親指を入れて内臓をこそげとる。
  2. 1を水できれいに洗い、キッチンペーパーなどで水気を拭き取る。
  3. 塩をたっぷりふりかける。
  4. 清潔な保存容器に入れて、冷蔵庫の野菜室で1ヶ月熟成させる。

少し詳しく説明しますね。

ヒシコイワシを見つけたら買う!

まずは、ヒシコイワシを手に入れることが先決です。

ヒシコイワシとは、煮干しの原料になる小型のイワシです。

あっという間に鮮度が落ちるため、煮干しにする際は、陸にあげた途端に塩茹でして加工されていきます。

なので海の近くでもないと、なかなか生で出回るのを見かけることはないのですが、春先3月から5月ごろには、近くの店に出回ることがあるので、私は見つけると即買ってアンチョビを仕込むことにしています。

下の写真は、アンチョビ作りを始めてくれた友人が、「見つけました!」と写真を送ってきてくれた時のものです。

スーパーで見つけたヒシコイワシ

スーパーで見つけた!と友人が写真を送ってきてくれました

ヒシコイワシをさばく
アンチョビ作り工程

ヒシコイワシの頭と内臓をとって洗ったところ

特別な道具は不要で、手で簡単にさばくことができます。

頭はちぎって、お腹の下の方(尾に近い方)から親指を入れて、背骨に沿ってぐ〜っと上に(頭の方に)指を動かすと、内臓が全部取れます。

これを、きれいに水洗いして、水分を拭き取ります。

塩をふる

塩は、先にも書いたように、「このままでは雪に埋もれてしまう!」と思うくらいの分量を振ります。

自家製アンチョビを仕込む

自家製アンチョビを仕込む

自家製アンチョビを仕込む

少量しか売っていなかった時には、こんな小さな保存容器で作りました。

冷蔵庫で1ヶ月熟成する

私は、蓋のできる保存容器に入れて冷蔵庫の野菜室に入れています。

きれいに洗って乾かしてあれば、容器を煮沸消毒までする必要はありません。

気になる人は、アルコールを吹きかけておけばいいでしょう。

あるいは塩を多めにするか、です。

1ヶ月ほどすれば、いい感じになれてきます。

これで、自家製アンチョビは完成です!

え?これで完成?オリーブオイルには漬けないんですか?

そういう方もいらっしゃるかと思います。

なぜ漬けないかは、このあと説明しますね。

2 自家製アンチョビの保存期間

塩漬けだけでフィニッシュするアンチョビは、冷蔵庫にそのまま保存しておくなら、ゆうに1年以上保ちます。

なので、ヒシコイワシを見つけたら作っておけば、普通の家庭ならアンチョビを切らすことはまずないと思います。

*ある方から「大量に仕入れた6年前のものがまだ健在です」というコメントをいただきましたよ!

3 一般には言われていても、しなくていいこと

①オリーブオイルには漬けない

オリーブオイルには漬けないことを、おすすめしています。

オリーブオイル漬けにすると、まるで売り物のようにできあがり、写真映えはいいと思いますが、それ以外にはデメリットの方が多いと私は感じています。

理由(1)保存性が低くなる〜失敗の可能性が高まる

私も以前はオイルに漬け直していましたが、オイルに漬ける時に塩を落とすことによって、むしろ保存性が低くなることに気づきました。

瓶詰めのオリーブオイル入りのアンチョビ、使いきれなかった分が腐ってしまったんです

市販のオリーブオイル漬けのアンチョビの使いきれなかった分を、冷蔵庫に入れていたにも関わらずオイルから出ていたところが腐ってしまった、という失敗経験はありませんか?

塩漬けにしたままの方が、アンチョビはぐっと長持ちします。

せっかく作って、このままでも十分使えるのに、手をかけて腐らせてどーする!というわけで、それから私は塩づけのみとしていますが、なんの不自由もありません。

オリーブオイルの風味が欲しければ、料理のときに加えてはどうでしょうか?

理由(2)容器の煮沸消毒など面倒な作業が増える

そんなことは面倒ではないという人はいいのですが、私は容器を煮沸消毒するのって、面倒です(笑)。

オリーブオイルに漬け直すことによって保存性が低くなる分、こうしたことに気を遣わなければならなくなり、工程が増えます。

②骨はつけたままでよい

骨を取ってから漬けるという人もいるようです。

でも、骨は取る必要はないし、取らない方がいいと私は思っています。

理由①骨は塩漬けになってからなら、簡単に取れる
出来上がったアンチョビの骨をとる

出来上がったアンチョビの骨をとる

出来上がったアンチョビは、塩漬けされて身がしまっているので、中骨を取るのは簡単です。

手です〜っと取れます。

生の時に取ろうと思うと、ちょっと面倒だと思います。

*ある方から「さばく時にスプーンを使えば、骨から簡単に剥がせるので骨なしで作ります。」というコメントをいただきました。

そういう方法もあるのですね!

まあ、でも私は取らないでいいかなと思います。

理由はこの後に。

理由②旨みが強くなる
アンチョビでナムプラー

アンチョビでナムプラー

塩漬けしてしばらくすると、茶色い水が上がってきます。

上の写真は、わかりやすいように容器を傾けています。

この茶色い液体が、ナムプラー(魚醤)です。

一般に肉も魚も骨つきの方が旨みが強いと言われます。

同じ個体で比べてみたことはないのですが、骨入りで熟成させた方が旨みが強くなると思うのですが、どうでしょうか。

*写真家・ジャーナリストの森枝卓士さんから、こんなコメントをいただきました。

現場を実際に取材されているので、これだけでも勉強になったので、知識のお裾分けです。

ナムプラーとかニョクマムは、内臓付きだったかと。その自己分解酵素が働くので。能登町のほうのイシリではイカの内臓だけで作る。輪島のイシル作りもイワシの内臓だけで作るのを見た。(中略)内臓いれたままだと、ナムプラ的なものはより旨くなるかもしれないけれど、アンチョビがダメになるかなあ。と思った次第。(中略)それ、試したことあるかどうか、聞きたかったのだ。

試したことがないので、次回ヒシコイワシが手に入った時に、少量で試してみたいと思います。

4 アンチョビの活用法

1年経ったアンチョビ

1年経ったアンチョビ

パスタやピザに

アンチョビは、パスタの具として、またピザのトッピングとしてなどが一番思い当たる使い方だと思います。

ボンゴレビアンコ

ボンゴレビアンコ

私のおすすめは、アサリのワイン蒸しに加えること。

とても美味しくなりますよ。

そのままワインのお供にもよし、スパゲッティとともにボンゴレビアンコとして食べてもよし。

残った蒸し汁にご飯を入れて、リゾット風おじやにするのもおすすめです。

スウェーデン風ポテトグラタンに

アンチョビとポテトのグラタン

アンチョビとポテトのグラタン

また、スウェーデンのクリスマス料理としても有名な「ヤンソンさんの誘惑」というユニークな名前がついたポテトグラタンには、アンチョビが欠かせません。

本場では、ヒシコイワシではなく、小型のニシンを使ったアンチョビ(anchovyと言えばイワシのことになってしまうので、この名前はおかしいですね)を使うそうです。

ホワイトソースを作る必要はないので簡単です。

北欧ライフスタイルマガジンというHPに、簡単な作り方が載っています。

【北欧クッキング】スウェーデン伝統料理”ヤンソンさんの誘惑”を作ってみた!

上の小さな写真は、だいぶ前にヤンソンさんの誘惑っぽい料理を作った時のものです。

私は上にチーズをのせました。

スウェーデンではやらないかもしれませんが、チーズのせも美味しいですよ!

サラダドレッシングに塩がわりに

よく刻んで、サラダのドレッシングに塩がわりに加えるのもおすすめです。

まとめ

自家製アンチョビは、塩漬けフィニッシュにすればとても簡単に作れます。

ぜひ、トライしてみてくださいね。

 

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ABOUTこの記事をかいた人

サステナブル料理研究家/一般社団法人DRYandPEACE代表理事
東大法学部卒。外資系金融機関等を経て、娘の重度のアトピーをきっかけに食の世界に。

食には未来を変える力があるという信念のもと、今のライフスタイルにあった乾物や米粉の活用法を中心にレシピを開発している。
料理教室の開催、企業向けメニュー開発、研修など多数。

料理を自由に発想でき、毎日の料理が楽しくなる独自の「ピボットメソッド」を考案。個人やメニュー開発が必要な方向けのトレーニングも行っている。

著書14冊。メディア出演多数。

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