水問題入門に最適な本「水がなくなる日」

水問題を取り上げた本

橋本淳司さんの著書「水がなくなる日」を読みました。

見開きで1テーマ、イラストも多く、わかりやすくする工夫がされています。

(旧ブログ 2019年3月15日の記事から加筆修正移動)

料理のパーソナルトレーニング

 

水を巡る課題や現状を一通り概観できる本

橋本さんの本は、どれも、読む人に届けたいという思いを感じさせます。

とにかくわかりやすいのです。

「水がなくなる日」は、そんな橋本さんの著書の中でも水を巡る課題や現状が一通り概観できる、いわば、水問題の入門編としてお勧めできます。

  • 世界の水と衛生事情
  • 水道は大丈夫か
  • あなたの家に流れてくる水
  • 食べもの・製品という巨大な水の流れ
  • 気候変動と災害対策
  • あなたの家から流れてゆく水

といった項目わけがされています。

ネスレの事例、墨の話は驚きでした

初耳(初目?)だったことは、墨は軟水でなければちゃんと書くことができないということ。

書道は、日本の水が軟水だったからこそ生まれた芸術だったのですね。

また、ネスレの工場についてのページには驚きました。

CEOが環境について語る記事には今までにも目にしていたのですが、実際にどういうことをしているのかまでは具体的に知らずにいました。

なんと、水を使わない工場!

メキシコにあるネスレの工場では、牛乳を沸かすときにでる水蒸気を集めて濾過し、必要な水を作っているというのです。これには驚きました

誰かを悪者にすることで思考停止するのではなく、、

これは伺ってみたいな、と思ったのは、水不足のインドについての記述。

以前に読んだ「水の未来 世界の川が干上がるとき」というイギリス人ジャーナリストによる本でも、この話は取り上げられていました。

グローバル企業の工場が、地下水を大量に利用していることで環境悪化に繋がっているとインドで訴えられて撤退を余儀なくされたと、そこにも書かれていました。

でも実際は、工場が原因だったのではなく(原因の一つではあったとしても)その地域の住民たちが営む農業によって水が大量に使われていることと、その処理の問題の方が実は大きな問題であることが指摘されていました。

紙幅を割けないからなのかもしれませんが、大工場(だけ)が悪いとう印象を与えかねないつまり、一人一人が解決しなければいけない問題ではないという印象を与えかねないなとちょっと危険にも感じました。(よく読めば、工場が悪いという書き方はされていないのですが)

「**が悪い!」という批判することで、ともすれば思考停止になりがちなので。

(レジ袋が悪い、ストローが悪いというのはわかりやすいのですぐに行動に移しやすいけれど、本当にそれが環境をよくするための根本問題なのかと考えると実は本筋ではないのかもしれない、、、とか)

コンパクトにまとめようと思うと、苦渋の選択としての省略はいた仕方ないことなのかもしれませんが、、、。この本で水について興味をもち、さらに水のことについて読んだり、調べたり、足を運んだりといったことに繋がる人も増えそうです。

小学校高学年であれば十分読める内容、水問題入門編として、お勧めです!

 

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ABOUTこの記事をかいた人

サステナブル料理研究家/一般社団法人DRYandPEACE代表理事
東大法学部卒。外資系金融機関等を経て、娘の重度のアトピーをきっかけに食の世界に。

食には未来を変える力があるという信念のもと、今のライフスタイルにあった乾物や米粉の活用法を中心にレシピを開発している。
料理教室の開催、企業向けメニュー開発、研修など多数。

料理を自由に発想でき、毎日の料理が楽しくなる独自の「ピボットメソッド」を考案。個人やメニュー開発が必要な方向けのトレーニングも行っている。

著書14冊。メディア出演多数。

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