今月発売になった、「あるものでまかなう生活」という本を、著者の井出留美さんにお贈りいただきました。
ここに書かれているのとほぼ同様の内容を音声でもお伝えしています。
(こちらからお聴きください)
目次
1 「あるものでまかなう生活」の著者、井出留美さんとは?
2 食だけでなく、あるものでまかなう暮らしを楽しむ
3 捨てない、無駄にしない暮らしが与えてくれるもの
4 自分ができることを、改めて考えてやってみる
目次
1 「あるものでまかなう生活」の著者井出留美さんとは?
井出さんと初めてお会いしたのは、もう10年以上前。当時は食品会社で広報の仕事をされていました。
ご自身の誕生日に起きた東日本大震災と、その後、支援のために送られたはずの食べものが理不尽に捨てられていくのを目にしたのをきっかけに独立。食品ロス問題の専門家として活躍され、昨年施行された食品ロス削減推進法の成立にも尽力されました。
真摯に仕事に取り組まれる姿勢、多忙な仕事の中でも大学院に通うなど、常に学ぶ姿勢を失わない生き方を尊敬しています。
2 食だけでなく、あるものでまかなう暮らしを楽しむ
井出さんのご著書は数冊拝読していますが、「あるものでまかなう生活」は、食品のロスのみでなく、広く暮らし全般について言及されていることが特徴。
自分や家族、先祖が手に入れたもの
自然環境
そして、人が持つ素質そのもの
これらを「あるもの」と捉え、そうしたものに新たな命を吹き込み、創意工夫を生み出し、暮らしを楽しもうという提案です。
そして、いつもの井出さんの著書と同様に、私たちが日々の暮らしの中でスタートできる小さな行動のヒントがたくさん挙げられています。読んで終わりにしないでほしいという井出さんの思いが感じられます。
例えば食で言えば、
お米のとぎ汁は捨てずに植物に
玉ねぎの皮やキャベツの芯はベジブロスに
見切り商品のチェックポイント
野菜を長持ちさせるなら「超カンタン乾物」(このページで私の活動をご紹介いただいてます)
捨てない一工夫
など。
なぜ捨てることになってしまうのか、業界内での商慣習への疑問や、国内外の「捨てない」ための工夫や仕組み、法律の事例、必要なものだけを持って大切に使う考え方なども記されています。
また、参考になる本の紹介もあります。
3 捨てない、無駄にしない暮らしが与えてくれるもの
今まで無駄にしていたことやものに気づき、ものや、その背後にある資源、作った人の想いを大切にしていくことを意識して行動することは、すがすがしい気持ちを呼び込んできてくれます。
我慢に我慢を重ねる暮らしというのではなく、暮らしを見直していくことを楽しむ感じ。
井出さんは、自分がこういう仕事をしている、こういう話をみんなにしているとなれば、自ら実践しなければと、ご自身が実践されていることを紹介しています。
その中に金継ぎも挙げられていました。
実は、少し前に簡単な金継ぎの仕方を習ってから、私もとても「すがすがしい気持ち」を味わっています。
食器が好きで、地方のリサイクルショップで埃を被っている古い器(つまりは超破格値)からお気に入りのものを見つけることに喜びを覚えます。あるいは旅先でふと出会って買い求めた小皿とか。
そういう器がかけてしまうと、捨てるに捨てられず、でも食卓に出すのは憚られるという状態が続いていました。
でも金継ぎを習ってから、自分の手で器を蘇らせることができるようになって、かけてしまったその器への愛着がさらに増しました。
捨てずに済んだこと、大切に使い続けることができることに、その器に触れるたびに感謝というと大袈裟なのかもしれませんが、そんな気持ちを抱いています。
日々の小さな幸せ、です。
4 自分ができることを、改めて考えてやってみる
スウェーデンでは、自転車、洋服、靴、レザー商品、家庭用リネンについて、その修繕代金の消費税が通常の半分になるという事例が紹介されていて、さすが北欧だなと感じました。
こんな風に物を修理して大切に使う流れを政府が後押しすることも必要だと感じます。
(この法律を作るように働きかけたのは市民ですが)
でも一方で、私たち一人一人が、日々の暮らしをちょっとだけ変えることの総和は、小さいものではないとも感じます。
井出さんもこの著書の中で紹介されているように、「地球上の食料生産量は、地球上のすべての人をまかなうことができる十分な量だけあり、分配がうまくいっていないだけ」(FAO:国際連合食糧農業機関)。
この問題で私たちにできることの一つは、食料の無駄を減らすこと。
コロナによる外出自粛で、頻繁に買い物に出ることができなくなり、2019年に比べて家庭で食品を捨てなくなったというデータがあるそうです。普段の暮らしを強制的に変えざるを得ない状況の中で、気づきを得た人も多かったということなのだと思います。
まずは買いすぎない、あるもので工夫して料理する。
その気づきを、これからの暮らしに生かしていければと思います。
ぜひ多くの人に手に取っていただきたい本です。
モノを、地球を、そして私たち自身を、生かしていくために。
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