【食育】食の読書会で、食への新たな視点を得る

食のことについてもっと知りたい!人と話したい!

そんな人のための、食をテーマにした本に限定した読書会を毎月開催しています。

コロナの影響で、2021年からはオンラインに移行。

やり方も変更せざるを得ませんでしたが、これによってむしろ食の世界の広さ深さを感じることになりました。

サステナブル料理研究家、一般社団法人DRYandPEACE代表理事のサカイ優佳子です。

2011年からは特に、現代のライフスタイルに合わせた乾物の活用法の研究、発信に力を入れています。

日々の食卓を手軽に美味しく楽しみながら、キッチンから世界をみる眼を持ち続けたいと思います。

日々の食に役立つ情報をお届けする無料メルマガを書いています。
ぜひ、キッチンから世界をみる仲間になってくださいね!
サカイ優佳子の 楽しく 美味しく 未来を創る

 

ほぼ同じ内容の音声配信はこちらでお聴きいただけます。

standFM 「サカイ優佳子の 食卓で世界旅行

1 リアルの読書会 vs オンラインの読書会

テーブルを囲んでお茶会的な雰囲気で行っていた食の読書会

テーブルを囲んでお茶会的な雰囲気で行っていた読書会

食の読書会の様子

各回のテーマを決め、基本私が本を選んで持参していました

以前、リアルに集まっての読書会の際には、以下のような開催の仕方でした。

  • テーブルを囲んで開催
  • 各回のテーマが決まっている
  • 本を持ち込んでもらうのは大歓迎&でも基本私が人数分以上持ち込む

集まることができないとこの形は無理なので、以下のように変更しました。

  • zoomで開催
  • テーマは決めず、各自が本を一冊ずつ用意

もちろん、同じ場に集まることで共有できるものの価値は大きいながらも、オンラインにはこんなメリットもありました。

  • 遠くに住んでいる人にもご参加いただける
    私が住んでいるのは横浜ですが、遠い地域やたまには海外在住の方も
  • 私の視点以外の本が集まり、食に関する視点が広がる

改めて、食がカバーする範囲は広く、そして深いなあと感じるこの頃です。

2 参加人数分だけの本を読む!みんなで読む意義

独学大全

2020年に話題になった「独学大全」

自己紹介の後は、こんな感じで進みます。

  • その場で8分ほどかけて、全体を把握し、1分で発表する。
     掬読(キクドク、skimming)、必要な部分だけを選び出し読む技術を磨くことになります。
  • 発表を聞いて、全員それぞれが質問を発表する。
  • 15分で、自分が持参した本の中に質問の答えを探る。
     問読(Q&A readinig)、問いを作ってから、問いの答えを捜すように読むこと。
     速く読める、理解と記憶が深まるなどのメリットがあります。
    また他の人の問いであることから、一人で読んでいたら気づかなかったかもしれないことに気づけるメリットもあります。
  • 答えの発表と対話の時間。
    答えを発表していただき、それを聞いての意見や質問、感想などをやりとりします。

こういう形式なので、未読本でも問題なく参加できるのです。

私も最近は、未読本を持ち込むことが多くなっています。

その後に一人で精読するときに、すでに全体を把握していること、他の方々の質問という視点が入ることから、内容が頭に入りやすくなります。

私は、2015年にRead for Actionという団体のリーディングファシリテーター養成講座を受講しました。

数回読書会に参加して、読書会というものに可能性を感じたからです。

2020年に話題になった「独学大全」を読んだときに、読書法に関する記述の中に、掬読(キクドク、skimming)、問読(Q&A readinig)といった読み方が紹介されていました。

「独学」ではなく、みんなで読む読書会にそれを導入することで、よりパワルフな読書体験に繋がると思っています。

3 今回集まった食の本

オンライン読書会、本を持っての集合写真

5人で5冊の本を読みました

今回も、とても興味深い本が集まりました。

「科学者たちが語る食欲」

New Scientist Best Book of 2020』に選出された話題の本です。

シドニー大学の世界的生物学者の、30年に及ぶ共同研究の成果とのこと。

全ての生物が、タンパク質欲を満たすために生きていた!という衝撃の事実が判明したというのです。

そこでは、食物繊維がキーを握るとか、

タンパク質と炭水化物のバランスが大事とか、

甘いものではなく、しょっぱいもので太る??とか、

食品メーカーは、タンパク質を希釈した食品を市場に送り込むことによって、食欲を刺激している?とか。

バッタからオランウータン、そしてヒトまで、多くの生物の食欲を通して見えてくるものがすごいのだそうですよ!

みんなタンパク質欲で生きていても太りすぎないのに、なぜヒトには肥満があるのかについても書かれているそうです。

そして、他の動物の中でやはり肥満が認められるのが、オランウータンだとか!

さてなぜオランウータンは太るのでしょうか。

食べすぎる原因は「タンパク質欲だったの???」と、私も含め、参加した全員が驚きました。

「実はその本もってます。まだ最初しか読んでいないのですが読みます!」という方もいらっしゃいました。

今年(2021年)初めに日本語訳が出たばかりの本です。

「A Foodie’s Guide  to Capitalism」

この読書会初の英語本の登場です。

持ってきてくれたのは、帰国子女の20代。

「食べるのが好きな人のための資本主義ガイド」といった感じになるでしょうか。

2050年には人口が100億に?そんな社会の中で私たちは食べていけるのかという問題意識から書かれた本とのことでした。

「食の問題について声をあげる人は多いけれど、その仕組みをきちんと理解していないと、ちゃんとした解決にはならない」という指摘に、反省も含めて感じるところがありました。

食は、社会と密接に関係していて、その仕組みの中に組み込まれているのですものね。

「飢餓を無くしたいと思っている人、クリーンでヘルシーな食を求める人は、全員資本主義を理解する必要がある!」のだそうです。

著者は、食に関する不公正をなくすことを使命と考えるシンクタンクのディレクターです。

「ラーメンを科学する」

個人的には、このタイトルにまず惹かれましたね(笑)。

ラーメンは、日本が誇るスローフードという思いを持っているので(いつかきちんとお伝えします)。

著者は、科学系ライター。

ラーメンを食べるとなぜ幸せな気持ちになれるのかを、科学的に分析した本とのご紹介。

旨み成分であるグルタミン酸と、脂肪酸は、腸の中では同じように認識されるという指摘に、皆さん騒然!

10年以上前に読んだ、当時京大教授だった伏木亨さんの「コクと旨みの秘密」の衝撃が蘇りました。

人は脂肪に病みつきになるが、ダシの味を小さい頃から刷り込まれると脂肪への病みつきは抑えられるとするものでした。

「ジョコビッチの生まれ変わる食事」

グルテンフリーブームのきっかけの一つともなった本ですよね。

二番手集団からトップアスリートに生まれ変わるために、食のチェックを始めたジョコビッチ。

小麦に対して反応することが発見されたのだそうです。

食事法を変えることで、脳が活性化され、瞬発力が大幅に改善されたのが、彼の強さの秘密とのこと。

「食べるときには食べること、特に噛むことに集中すること」という指南には、「う〜ん、会話がないのはちょっと寂しい」という声も。

「ゆっくり意識的に食べる。胃にも食べものに対する情報処理の時間が必要」という指摘には、「なるほど〜」とみんなで頷いていました。

「戦争と農業」

トラクターは戦車に、化学肥料は火薬に、戦争が終わって使い道がなくなった毒薬の技術は農薬に。

世界で初めての人工光型植物工場は、アメリカの原子力潜水艦の中でサラダを食べるためのものだったという事実に驚きました。

効率を重視した食の仕組みとそれを支えるための農業の仕組みを、これでいいのかと改めて考えて、遅効性が即効性に先立つ仕組みを考え直すことの重要性とその試みが語られています。

ここ数年、食に関する著書も多い藤原辰史さんの本です。

4 「食」がカバーする範囲は広い

「読書会では食をテーマにする」と限定してから、はや3年ほど。

途中コロナの影響で開催できない期間もありましたが、ほぼ月1回開催してくる中で、さまざまな食の本に出会いました。

栄養、フード・ファディズム、環境、農業、発酵、肉食、調理、菜食、断食、食品ロス、食の歴史、食の未来、政治や経済システムと食、土壌、郷土食などなど、本当に幅広いんですよね。

そんな食について、本を介して語り合うことで、さまざまな視点に気づいたり、知らなかったことをしったり、考える機会をもったり、やってみようかな!と思ったり、そんな場を創っていきたいと思います。

今回初めてご参加いただいた方から、早速こんな感想が届きました。

とにかく楽しかった〜!

あっという間の充実した2時間でした。
こんなにメモを取るとは思わず、途中で紙を取りに走りました!
今はびっしりととられたメモを見て、達成感をヒシヒシと味わっています。
食の本、といっても様々なジャンル、趣向があるのですね。
本を探す楽しみも増えます。

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ABOUTこの記事をかいた人

サステナブル料理研究家/一般社団法人DRYandPEACE代表理事
東大法学部卒。外資系金融機関等を経て、娘の重度のアトピーをきっかけに食の世界に。

食には未来を変える力があるという信念のもと、今のライフスタイルにあった乾物や米粉の活用法を中心にレシピを開発している。
料理教室の開催、企業向けメニュー開発、研修など多数。

料理を自由に発想でき、毎日の料理が楽しくなる独自の「ピボットメソッド」を考案。個人やメニュー開発が必要な方向けのトレーニングも行っている。

著書14冊。メディア出演多数。

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