乾物ローリングストック術|普段使いで災害に備える、栄養バランスのよい防災食のすすめ

乾物防災ローリングストック

「非常食」に加えて、乾物を備えてほしい!

「防災のために、何を備えていますか?」

そう聞かれたら、皆さんは何と答えるでしょうか。

水、非常食、缶詰、レトルト食品……。

もちろん、それらも大切です。

けれど、私はもう一つ、ぜひ家庭の備えに加えてほしいものがあります。

それが乾物です。

私は2011年、東日本大震災をきっかけに、乾物の持つ大きな可能性に気づきました。

料理研究家として、「乾物を普段の食卓に取り入れることが、もしもの時に強い家庭をつくる」ということを伝えています。

 

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乾物クイズに挑戦

 

東日本大震災で感じた「冷蔵庫が使えない」という現実

私は被災地にいたわけではありません。

でも、私が暮らしている横浜市でも計画停電が実施されました。

日常が突然変わりました。

冷蔵庫がいつも通り使えない。

スーパーに行くと、生鮮食品の棚は売り切れて空っぽ。

野菜、肉、魚……。

そんな状況の中で、私が衝撃を受けた光景があります。

それは、

乾物売り場だけは、いつも通り商品が並んでいたこと。

でした。

切り干し大根、ひじき、昆布、干し椎茸、高野豆腐、わかめ、煮干し……。

そこには、昔から日本の家庭で受け継がれてきた「保存する知恵」がありました。

「なぜ、こんなに役に立つものが、もっと日常で使われていないのだろう?」

そこから、私の乾物研究が始まりました。

乾物は「古い食材」ではなく、未来の食材

乾物は未来食

乾物というと、どんなイメージがありますか?

「煮物しか作れない」

「醤油味の地味な料理」

「戻すのが面倒」

そんな声をよく聞きます。

でも、それは乾物のほんの一面です。

乾物とは、

食材の水分を減らすことで、常温で長期保存できるようにした食材

です。

つまり、

・冷蔵庫がいらない
・食品ロス削減につながる
・旬の食材を長く楽しめる
・災害時の備えになる
・実は料理時間の短縮にもなる

という、現代の暮らしにこそ必要な食材なのです。

私は乾物を「未来食」だと思っています。

 

東大式ロジカルクッキング

 

「長期備蓄」ではなく「ローリングストック」という考え方

ローリングストックとは

防災食というと、「何年もつか」を重視しがちです。

3年保存、5年保存、10年保存。

なかには25年保存!なんていうものも。

実は、25年保存できるという、1万円を超える価格の1リットルはありそうなホワイトシチューの缶詰を、展示会で試食したことがあります!

でも25年も経ったら、家族構成も、味の好みもかなり変わっているのではないかなとも思うのです。

25年持つ商品はさておき、、、

もちろん、災害直後には数年持つ非常食は役立つし、必要と思います。

でも、長期保存できるからこそ、

「まだ大丈夫」

と思ってしまい、気づいたら4年、6年、11年経っていた!!!

そんな経験はありませんか?

「賞味期限が切れてもう一年経っている」

さて、それを食べようと思えるでしょうか?

もしもの時にお腹を壊すわけにもいきませんよね。

 

そこで大切になるのが、

ローリングストック

という考え方です。

 

一度買ってしまっておくのではなく、

買う

普段の料理で使う

食べた分を買い足す

この循環を作る。

つまり、

普段食べているものが、そのまま非常時の備えになる

という仕組みです。

乾物は、このローリングストックに向いています。

なぜなら、特別な防災食品ではなく、普段の料理に使えるからです。

 

乾物はフェーズフリー

フェーズフリーイメージ

非常食としてデザインされたものを、「たまに機会を作って食べなれておきましょう」という記事などをよくみかけますが、私はむしろ逆で、普段使えるものを、いかにもしもの時にも使えるかという方向で考えたいと思っています。

それができれば、コストも削減できるし、保存して置く場所も、わざわざ非常食を買いにいく手間も必要なくなるからです。

こうした考え方は、「フェーズフリー」といわれます。

日常時と非常時という二つのフェーズ、どちらでも使うことができる商品のことを、フェーズフリーな商品といいます。

乾物はまさにフェーズフリーな食材と言えるのではないでしょうか。

参考 : 一般社団法人フェーズフリー協会HP

 

乾物なら、災害時でも栄養バランスを整えられる

防災用乾物集合

魚、海藻、豆、野菜、くだもの、穀物。乾物ならいろいろな栄養がとれ、食物繊維も豊富です。

 

災害時の食事で問題になることがあります。

それは、

「お腹は満たされても、栄養が偏る」

ということです。

非常食はどうしても、

・米
・パン
・麺類

など、エネルギー源になるものが中心になりがちです。

もちろん、それらは必要です。

でも、長期間になるほど、

・野菜不足
・食物繊維不足
・たんぱく質不足

が問題になります。

災害が長引くと、ニュースなどで必ず聞くのが「野菜が食べたい」という声です。

乾物には、野菜、豆、魚、海藻、フルーツなど、さまざまな種類があります。

そのまま食べることができるものもあるし、水分を加えるだけで戻せるものも多く、災害時にも食卓に「いつもの食事」に近いものを取り入れることができます。

乾物で「我慢の食事」ではなく、楽しめる料理に

世界の料理の知恵で乾物料理

乾物が普段の料理にどれだけ活かせるかもしっかりお伝えしています。これは便利!おいしい!作ってみたい!と思えば自然と備蓄も進みます。

 

私が大事にしているのは、

「災害だから我慢しなくちゃ」

ではなく、

「もしもの時にも、できるだけ豊かな食卓を作る」

という考え方です。

そのために、私は乾物を、世界の料理の知恵と組み合わせて提案してきました。

例えば、

切り干し大根を和風の煮物だけではなく、アジア風サラダに。

乾物をパスタ料理に。

高野豆腐をデザートに。

寒天をスイーツやサラダに。

乾物には、まだまだ知られていない料理の可能性があります。

「こんな食べ方ができるんだ!」

という驚きがあれば、普段から使いたくなる。

普段から使っていれば、自然と備蓄になる、使い方もわかっている、だからもしもの時にも使える!

それが私が伝えたい乾物ローリングストックです。

水がなくても乾物は戻せます

「でも乾物は、水がないと戻せないじゃないですか?」

よく聞きます。

いえいえ、水がなくても戻せるんです。

乾物は「水分」で戻します。

なので、たとえば缶詰の汁で、豆腐で(常温保存の豆腐があります)、常温保存可能牛乳や豆乳、ジュースなどで、トマトジュースやコーヒー、お茶類などペットボトル飲料でも戻せるんです。

戻しながら味をつけている感じです。

切り干し大根とツナの和えもの

切り干し大根とツナの和えもの。ツナ缶の水分で戻します。普段は茗荷や大葉などを飾って。

 

切り干し大根とツナの和えもの

梅干し、ごま、ツナ、切り干し大根だけなら、もしもの時にも作れます。

家庭で作る乾物も、家庭や地域の防災力になる

自分で野菜を干して乾物にする

日々の料理の中で、少しずつ「ついで干し」をすれば、いつでも手元に乾燥野菜が数種類ある状態が作れます

 

もう一つ、私が大切にしていることがあります。

それは、

家庭で野菜を乾物にする知恵

です。

特別な機械は必要ありません。

普段使っている野菜を、悪くなってしまう前に干して保存する。

それだけです。

冷蔵庫に入りきらない野菜を無駄にせず、乾物にしておく。

すると、

食品ロス削減になる。

保存食になる。

そして、災害時には冷蔵庫がなくても使える食材になる。

これは、家庭単位でできる小さな防災です。

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2011年から続けてきた「食の備え」の伝承

私は、料理研究家として30年以上活動してきました。

そして2011年、東日本大震災をきっかけに、乾物の価値を改めて見直しました。

「乾物は昔の食材」ではありません。

これからの時代に必要な、

・食品ロス削減
・持続可能な食生活
・家庭の防災力向上
・健康的な食事づくり

を支える食材です。

私はこれまで、乾物をテーマにした講座や講演、料理教室を通して、

「乾物って面白い!」

「これなら普段から使える!」

と思っていただける人を増やしてきました。

防災は、特別な日に突然始めるものではありません。

毎日の食卓の中に、小さな備えを作っていくこと。

それが、いざという時に自分や家族を守る力になります。

乾物ローリングストックという考え方が、一つでも多くの家庭に広がり、災害に強い食卓、そして地域づくりにつながっていくことを願っています。

乾物ローリングストック講座・防災食講演について

企業・自治体・学校・地域団体向けに、
乾物を活用した防災食講座、講演、料理実演を行っています。

「防災を、我慢ではなく、楽しめる食卓から考える」

そんな視点で、実践的な内容をお届けしています。

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ABOUTこの記事をかいた人

サステナブル料理研究家/一般社団法人DRYandPEACE代表理事
東大法学部卒。外資系金融機関等を経て、娘の重度のアトピーをきっかけに食の世界に。

食には未来を変える力があるという信念のもと、今のライフスタイルにあった乾物や米粉の活用法を中心にレシピを開発している。
料理教室の開催、企業向けメニュー開発、研修など多数。

料理を自由に発想でき、毎日の料理が楽しくなる独自の「ピボットメソッド」を考案。個人やメニュー開発が必要な方向けのトレーニングも行っている。

著書14冊。メディア出演多数。

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